「ねぇ、服脱いでよ」
誰もいない教室に入った銀八と土方は暗い教室で向き合っている。
銀八の言葉に驚いた土方は自分を守るように学ランに手をかけたまま動かない。
「あるんでしょ?見せてよ」
そう言って近づく。
土方は一歩身を引いた。
「GS-1005」
ドクンッ。
先ほどすれ違いざまに言われた言葉。それは自分の商品名。
聞き違いではない。確実に知っている。
額から汗が大量に出てくる。鼓動も早くなる。
するといきなり銀八は土方を押し倒した。
「っ!!!」
急なことに戸惑い抵抗できない。
あれよあれよというまに上半身を裸の状態にさせられた。
「あった・・・」
左胸の焼印に手を置き、愛おしそうに撫でる。
撫でられたところが気持ち悪い。
睨みつけていると目があう。ニヤリと笑われる。
(怖い。なんなんだコイツ。なんで・・・)
震えが止まらない。
「君を買おうとしたのは紛れもない俺なんだよ?土方くん」
え・・・?
今言われた言葉が理解出来ない。
俺を買おうとしたのは銀八・・・?
「高いお金払ったのにアイツは土方くんを置いて逃げちゃうんだもんなぁ・・」
そう言って土方を優しく抱きこむ。
頭はショートし、振り払うことも出来ない。
しかし、自分の商品番号を知っている。
これは今までの言葉を信じざるを終えないという事。
「でもやっと会えた。俺のものになってよ」
土方の火傷の痕をペロリと舐める。
そして笑った。
あの時と同じ―
――
「後はお前だな」
「おい、動くな」
逃げる土方を仰向けにし両手を何人かの男が掴む。
火傷を負わせたその番号に舌を這わす。
唾液が傷跡をヒリヒリと痛めた。
「ぁ・・・ぃ、ゃ・・・」
恐怖で声がうまく出ない。
もっと必死に叫びたいのに。
「ほんとお前良い体に顔だよな」
男が土方の顔を手で撫でる。
なにかねっとりとした感触。
それが両親の血だということを理解するのに、そう時間はかからなかった。
必死に顔だけでも背ける。
「−っ!!!!」
背けた方向には両親が血だらけで倒れていた。
や、 やめ、 なん、で ・・・
―――
――
過去を思い出し頭を両手で抱え、ガクガクと震える。
両目からは涙が止め処なく流れ、歯はガチガチと音を鳴らす。
「はっ・・はっ・・はっ・・」
「どうしたの?過去の事思い出しちゃったかな?両親が目の前で殺されちゃったんだってね〜カワイソウ」
全く同情していないような口調で言う。
土方をもてあそんでいるようだった。
「あ、そういや最近晋助と仲良いみたいだね」
「!」
何故そこで高杉が出てくる。
「晋助のこと、教えてあげようか・・・実は、ね」
―うそだ。
「嘘ついてるって思う?まぁ信じる信じないかは土方君の勝手だけど。俺がなんで土方くんの火傷を知ってるかよく考えて」
うそだ。
「だからさぁ〜二人が仲良くなって凄くびっくりしちゃった」
うそだ!
「俺と晋助は一緒に住んでるけどプライベートのことは一切知らない。何が言いたいか、分かる?」
「・・?」
「会ってるかもしれないよね」
「!!!」
「なんで土方くんに声をかけたんだろう・・?」
意味ありげに銀八は笑う。
嘘だと信じたい。でも・・・でも・・・
「先生なら土方くんを守ってあげる」
「・・・っ!」
急に視界が暗くなる。
キス、された。
「っ・・っ・・!」
息が苦しい。
力をこめて銀八を自分から引き剥がした。
「ま、今日はこれくらいにしといてあげる。いつでもおいで」
俺の頬に軽くもう一度キスをし教室から出て行く。
もう起き上がる気力も無い。
しんすけ・・・
Continue.....
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