はじめに
『Love of a devil』の続編になるので、最初に『Love of a devil』を読むことをオススメします。

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「掃除洗濯たのんだぞ」
「任せとけ!」

元気の良い返事をした晋助は仕事に向かう十四郎を見送った―。


元々悪魔だった晋助は十四郎との出来事で夢だった人間になることが出来た。
そして晋助と十四郎は二人で住むことを決めたのだった。

しかし、一文無しの二人。
これからどうしようか悩んだ挙句、アパートの大家さんと交渉することに。
大家は小太りな40代ぐらいのおばさん。
住まわせて欲しいのだが今はお金がない。働いて返すので一ヶ月待ってくれないかと交渉した。
するとOKをだしてくれたのだ。
世の中にはこんなに優しい人もいるのだと二人は大家に感謝した。

実のところここの大家は二人を見た瞬間あまりの美形に惚れてしまっていた。
あの二人の容姿だ。惚れるのも理解できる。
その日から大家はお金がないのは大変だと、カレーなどを作ってあげたりと、なにかと世話をやくようになっていた。

アパートに住むことが出来た二人は早速アルバイトを探し始めた。
また苗字を高杉と偽って生活している。
十四郎は有名な土方貿易の息子だ。
引きこもっていた為顔はあまり知られてないが、“土方十四郎”という名前は知っている人も多い。
そこで適当に高杉という名前をつけ、晋助と十四郎は兄弟という設定にしている。

数日後アルバイトを見つけた十四郎は良いとして、晋助は”働く”ということを知らない。
これは致命的だ。
相談した結果、十四郎が働き、晋助は主夫になるという役割分担が決まった。
それでも晋助は掃除や料理を知らない。猛勉強する日々を送っていて今に至る。

しかし何週間か経ち、主夫の仕事も身についてきた。
今日も十四郎を見送り早速洗濯物をベランダにせっせと干し始めた―。


ひと段落つき置いてあるソファに寝そべる。
このソファも大家にいらないからと貰ったものだ。
本当に良いところに住めたと思いながら目を閉じ意識が遠くなっていった―。




目が覚めるとまだ昼過ぎ。
十四郎が帰ってくるまでにはまだ十分時間がある。
全てやることをやってしまったのでかなり暇だ。
うーんと何をして十四郎の帰りを待っていようか考えているとあることを思いつく。

夕食の準備。

晋助は掃除洗濯など、一通りのことはなんとか出来るようになっていたが、どうも料理だけは苦手だった。
前に一度料理をした時、この世のものとは思えない物体が出来上がってしまった。
それからというもの料理を一切していない。
夕食はバイトから帰ってきた十四郎が作っているのだが、十四郎のいない昼食は大抵ふりかけご飯をサラサラと食べている。もしくは卵かけご飯だ。
悪魔の時は何も食べなくてもよかったのだが、人間になってからは何か食べないと餓死してしまう。
人間というものは不便なのだが、十四郎と同じ人間になれたことが一番嬉しい。苦しみ喜び悲しみをともに味わうことが出来る。だから苦ではない。

夕食を作って出迎えたらどんな反応をするだろう。
喜んだ十四郎の顔が見たい。
そう思った晋助だが、何を作ればいいのか、どうやって作ればいいのか分からない。
途方に暮れ、やはり無理かと思った矢先、インターホンが鳴った。

「高杉さ〜ん」
「あ、大家さん」

玄関を開けそこにいたのはこのアパートの大家だった。

「これね、缶ビールなんだけど、良かったらいらない?うちの旦那がダメっていうのに買ってきちゃってね」

お酒は大好物だ。飲んでいると気持ちよくなるし、十四郎はすぐ酔ってしまうのだが、その時の十四郎が甘えてきてそれはもう可愛いのだ。
ありがたく貰うことにして手を伸ばそうとすると「うちの旦那がね」とまた話始めてしまった。

缶ビールから旦那の愚痴になりかれこれ10分は経っただろうか。すっきりしたのか晋助に缶ビールを渡すとそれじゃぁと後ろを向き帰っていく。
その後姿を見送っていた晋助だが、何かを思いついたのか大家を呼び止めた―。

***

「ただいまー」

十四郎は家に入るなり美味しそうな匂いが鼻をくすぐらせる。
その匂いに誘われるようにキッチンへ行くと、晋介が片手におたま、そしてエプロンを着ているというなんとも不釣合いな格好にぷっと笑ってしまった。

「おかえりー!今日はカレーだぞ!あとビールもあるぞ!」

満面の笑みで話す晋助に癒されながら鍋の中を見ると、美味しそうなカレーがぐつぐつと煮えている。

「これ晋助がつくったのか?」
「おう!」
「まじでか・・・」

確か晋助に一度料理をさせた時は食べられそうもないものを作っていたのに、凄い進歩だ。
いつのまにこんなに作れるようになったのだろうか・・・。
その疑問に答えるように晋助は実はと話し始めた。

「大家さんに頼んでカレーの作り方教えてもらったんだ。鬼のように教えてもらったよ・・・」

その時のことを思い出しているのか、体がぶるぶると震えている。
十四郎も怒られながら料理をしている晋助を想像してみる。なんだか微笑ましくて自分もそこにいたかったと羨ましく思った。

「いっつもバイトから帰って疲れてるのに飯作ってくれるからさ、迷惑かけたくないし、早く俺も料理できるようになりたいと思って・・・」

そう言って頬を人差し指でぽりぽりと掻きながら呟く。
顔も少し火照り、照れているのが分かった。
自分を想ってくれている晋助に愛情を感じながら十四郎も「ありがとう」と目頭を熱くさせながら感謝のことばを口にした。

「そういえば、廃棄になったケーキをかっぱらってきたんだけど」

いつもバイトに持っていく鞄をがさごそと探り、よくスーパーやコンビニにあるような2個入りのショートケーキを取り出し机に置いた。

「うまそお!」

涎をだらだらとはしたなく垂らしながらケーキに釘付けになっている晋助。
ケーキも大好物だ。人間の食べ物は美味しいものばかりで、ケーキなんか食べてると幸せな気持ちになる。
勢い良く飛びつくと手でガッとケーキを掴む。

「こら!ケーキは手で食べるもんじゃないって何回言えば分かるんだ!」
「おぉ。忘れてた、すまん」

今まで全て”道具”を使って食べる習慣がなかった晋助はなんでも手で食べようとしてしまう。
最近ちゃんと使えるようにはなったのだが、どうも”お菓子”関係のものは難しい。
何故ポテチやせんべいは手なのにケーキはフォークなんだ?
「ほら」とフォークを差し出され受け取ろうとするが、右手は先ほど掴んだケーキの生クリームがべっとりと付いている。

「こういう食べ方なら有り?」

そう言って差し出されている腕をグイッと掴み引き寄せると十四郎の頬にクリームをペトッと付ける。
そしてそのままペロリと舌を使って舐めた。

「な、な、な、」

十四郎は顔を真っ赤に染め、舐められたとこを手で押さえながら言葉に出来ない驚きを発している。
晋助はそのまま床に押し倒し、今度は十四郎の唇に塗りつけるように手に残っていた生クリームを付け、ちゅばちゅばとしゃぶるように舐め取った。

「十四郎と一緒に食べたケーキは何倍も美味しい」
「ば、か、」

十四郎は先ほどの口付けの快感に、声も体も少し震えているようだった。

「このまま十四郎と一緒に食べて良い?」
「・・・・・好きにしろ」

少しびっくりしてように晋助を見ていたが、観念したのかその願いを許した。
その言葉を聞いて上機嫌になった晋助は十四郎の服を全て脱がし、机にあったケーキを取り出す。
十四郎の雄は既に芯を持ち始めていた。

「どこから頂こうかな」

晋助の周りからは音符が飛んでいるように見え、十四郎は「はぁ」と小さくため息をついた。
その直後、十四郎の下半身から刺激が与えられる。
その刺激されている方を向くと、晋助が十四郎の雄にケーキを塗りつけていた。

「ひっ・・冷た・・・」
「我慢我慢〜」

適当に塗りつけ終えた晋助は、卑猥な音を鳴らしながら咥えたり舐めたりを繰り返す。

「んぁぁ・・はぁ・・なんか、いつもと・・・」

感じ方が違う。やはりケーキを塗っている所為だからか。
細かく舐められいつもより感じる気がする。

「ひゃっぱり、おまへといっしょにたへるけーきはうまひぞ」
「ぁ、しゃべ・・・っ!」

ぴゅっ・・ぴゅっと晋助の口の中に十四郎の欲望を吐き出した。
ごくりと晋助の喉が上下に動いた。

「たくさん出たな」
「っ・・うるさいっ・・」

晋助はもう一度沢山のケーキを中指と人差し指に付け、ニヤリと笑う。

「も、もしかして」
「そのもしかしてだ」

そう言うと十四郎の秘孔へと指を持っていく。

「や、そこ、やめ・・・んん!」

既に遅し。
十四郎が言った時にはもう指はじゅぶじゅぶと中へ入っていた。

「あ・・あ・・・」

手を器用に動かし、内壁にケーキを塗っているのが十四郎にも分かった。
自分のなかに異物が入っている。
そう思うとどんどん二本の指を締め付けていった。

指を引き抜くと中から溶けた生クリームがとろとろと流れ出す。
十四郎の両脚を持ち上げると、その零れ出た生クリームをちろちろと舐めだした。

「ひっ・・ぁ・・やぁぁ・・」

舌の先端だけで舐められ、くすぐったいような感覚に、逆に感じでしまう。

「最近穴の方が感じるのか?」

そう言いながら一気に晋助は自分のモノを十四郎の中へと入れる。

「あああ!!」
「んっ・・・!」

ゆっくりと動かしていくと、最初は苦痛の声を出していた十四郎が甘い声で喘ぎだす。

「はぁ・・ぁ・・・しん、すけ・・・」
「っ・・やっぱりお前が一番美味しいな」
「ばか・・・んあぁ・・は・・・」

だんだんと滑りが良くなり、今度は前立腺を重点的に攻める。
先ほど以上の刺激が十四郎の体を貫き、大きな声で喘ぎ反り返った。

「あああ!あ、や、でる・・・っ!」
「俺もそろそろやばい・・っ」
「あ、や、あ、ああああ!!」
「・・っ!」

十四郎が果てたと同時ぐらいに後から晋助も十四郎の中で果てた。

「はぁ・・はぁ・・・も、体がケーキまみれ・・・」
「大丈夫・・っ・・俺がちゃんと掃除してやるから・・」
「い、いい!自分で洗ってくる!」

耳まで真っ赤にした十四郎は晋助を突き飛ばし、ふらふら力の無い足取りで風呂場へと向かって行った。
全く、もうちょっとセックスの余韻に浸っても良いじゃないか。
そう思いながらも十四郎の後姿を見ながら微笑んだ。



***

「ただいまー」

バイトから帰った十四郎は家に入るなり焦げ臭い匂いが鼻をつーんとさせる。
その匂いに誘われるようにキッチンへ行くと、晋介が片手におたま、そしてエプロンを着て何度見ても不釣合いな格好に笑いが出てしまう。

「おかえりー!今日はカレーだぞ!この前の飲めなかったビールもあるぞ!」

満面の笑みで話す晋助に癒されながら鍋の中を見ると、この世のものとは思えないカレーがぐつぐつと煮えている。

「これ晋助がつくったのか?」
「おう!」
「だよな・・・」

料理が一人前になるのはまだまだかかりそうだ。





END
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あとがき
ごまさまのリクエストで
『Love of a devil』の続編でラブラブな話というリクエストでした。
とりあえずまだ人間に不慣れな晋助を書きたくて最終的にはケーキプレイ(笑)
なかなか話が決まらず何回か書き直したのですが、楽しく書けました!
ごまさまのみお持ち帰り可能です!
リクエストありがとうございました!!

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