12月24日 夜。
この日はカップルの一大イベントと言っても過言ではない。
道には沢山のイルミネーションがこっちを見てと言わんばかりにキラキラと輝いている。
沢山の人、カップルでにぎわう中、ガクガクと震えながら巻いているマフラーに顔を窄め寒さに耐えている土方。

「ひっじかったくううううん!!!」

いきなり後ろから抱きつかれ土方は驚きバランスを崩す。
後ろを振り向くとサンタの格好をしている銀時の姿。

「・・・なんだその格好は」
「ケーキ売りの依頼がきてさ、ねぇ今無性にケーキ欲しいよね、ワンホール。」
「なんでそうなるんだよ!しかもワンホールとか食えるか!今勤務中で忙しいんだ、離れろ!」

未だに抱きついている銀時を無理やり引き剥がす。
今日はクリスマスイベントが色んな場所であり、人がわんさか溢れている。
カップル、家族、独り身、道の脇でダンボールを家にして寂しそうに見てくるグラサン。
人が多い所ではトラブルも絶えない。
真選組は監視係として出向いていた。

「ぶーぶーケチケチー。こんな寒い思いしてケーキ売ってる可哀想な銀さんにケーキを買っておくれよぅ・・・」

そう言って寒さに凍える捨てられた子犬みたいな目で土方を見ている。
一見暖かいように見えるサンタのコスチューム。
しかし生地は薄そうでマフラーや手袋もしていない。
白い息を出しながら震えている姿は確かに寒そうで少し土方は同情した。

「いくらなんだ?」
「え?」
「ケーキはいくらなのか聞いてんだ」
「買ってくれるの!?!?土方くん大好きいいいい!!!」
「だあああ!!もう抱きつくな!!」

離そうとしてもきつく抱きしめて離れない銀時に呆れそのままほって置く。
ひっつかれて気付くがやはり銀時の体温は低かった。
ワンホール1500円だと言うので財布からお金を取り出し渡す。

「あれ?なんで4500円?」

両手に渡された金額を見ながらハテナマークを浮かべる銀時。

「あ?チャイナやメガネもいるんだろ?メガネは知らねぇがチャイナやお前はワンホールぐらい食べるだろ。だから3つ。」
「え・・・・」

どうして。
どうして土方はこうもお人好しなんだろう。
自分の為ではなく、人のために。しかもさり気なく銀時の周りのこともちゃんと考えている。
その優しさに触れ、銀時は微笑む。
その笑顔に不覚にも土方はドキリとしてしまった。

「・・・なんだよ」
「んー?なんでもねぇよ。でもケーキは1つでいいよ。あいつらお妙のとこに今日はいるからさ。」
「ふうん」

本当は違うのだけれど。
後で追い出そう。

「今日仕事いつ終わるの?」
「交代までの時間だから、もう少ししたら終わる。」
「じゃぁさ、仕事終わったら銀さんち来てくれるよね?」
「・・・・まぁ・・良いけど。」

耳元で囁くと、顔を赤くしながらそう言う土方に銀時は嬉しくなりニカッと無邪気な子供のように笑う。
じゃぁ後でと手をブンブンと振り去っていく銀時を土方は呼び止める。
どうした?ときょとんとしている銀時に近づき、土方は巻いていたマフラーを取り銀時の首に巻く。

「・・・土方・・・くん・・・?」
「寒そうだったから。・・・仕事がんばれよ。」

そう言った土方は顔が真っ赤になっていて。
呆気にとられている銀時をよそに背を向けじゃぁなと去っていく土方。
その後姿を見ながら土方に巻かれたマフラーをそっと掴み鼻に寄せ、土方の温もりを感じながらやっぱり大好きだと銀時も顔を赤くするのであった―。



END

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あとがき。
クリスマスということで甘々な銀土でした。
こういうピュアな感じの銀土も大好きです。

最後まで読んで頂きありがとうございました!!
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