「あく・・・ま・・?」

その姿は恐ろしいような、興味をそそられるような、不思議な感覚。
少年はその姿に目を奪われ動けなくなっていた。

「・・・やはり、俺の姿が見えるのか?」

そう口を開いた悪魔。
少年は大きく頷く。
するとまたニヤリと笑い、悪魔は少年に近づく。
そしてくいっと顎を掴んだ。

「俺は人間になる為に、お前を食うと決めた。」

「俺を・・・殺す気なのか・・・?」

震えた声で悪魔に尋ねる少年。

「まぁ、最終的にはそうなるな。死というより”無”だが。けどすぐには食べられねぇんだ。」
「・・・?」
「お前と俺が交わる事で俺は人間になれる。」
「な・・・っ」
「交わりも一度だけじゃない。少しずつ交わることでお前の”気”を俺の中に入れる。その”気”がある一定なとこまで溜まればお前は俺の中に取り込まれ、そして俺は人間になり、この世を支配する。」

そう言って乱暴に少年にキスをした。
キスもしたこともない少年は初めての感覚に戸惑う。
牙の所為で少年の唇からツーっと血が流れた。
しかしだんだんキスで体の力が抜け、そのまま倒される。

「ん・・・」
「お前、あんま嫌がらねぇんだな。好きなのか?こういうの。」
「ちがっ・・・」
「まぁお前がどう思っていようが関係ないがな。」

少年の服を全て脱がし、上から下へ舐め回すように見る。
華奢な体。色白な肌。
真っ黒でサラサラな髪に凛とした顔。
今からこの体を食べれると思うとゾクゾクと鳥肌が立っていた。

「俺は、お前の中に入れるのなら早く入りたい。・・・この世界に俺は必要ないから。」

意外なことを言う少年に悪魔は少し戸惑った。
自分から入りたいという人間がいるなんて。

「・・・・お前・・名前は?」
「十四郎、土方十四郎だ。」
「とうしろう、ね。」

両足を開かせ丸見えになった蕾に下を這わせる。
小さなうめき声が聞こえたが、悪魔は気にせず舐め続ける。
舌で内壁を舐めまわし唾液を十分に入れ、舌を抜くと今度は指を中に入れる。
するとじゅぷっという卑猥な音。
指の本数を増やし、中を掻き回す。

「う、うぁ・・ゃ・・・」

初めて秘部を見られ触られたことの羞恥と快感に、十四郎の頭の中は真っ白になっていた。

「ぁ・・ゃ・・・も・・・でる・・・っ」

勢い良く出てくる精液。
掻き回していた手を止めた悪魔は十四郎の腹に飛び散っている精液を舐め取る。
腹を舐められ、くすぐったい感覚に陥る。

「んぁ・・・・」
「お前の精液はなかなか美味いな。」

そう言って一物を取り出した。
人間のモノより大きなソレはぱんぱんに膨れ上がり、更に大きくなっていた。
その大きさに十四郎はゴクリと息を飲む。
そして、ゆっくりと十四郎の中に入っていく。

「うぁあ!痛い!くっ・・ああ・・・」
「お前に優しくするつもりはない。」

容赦なくピストンを開始する悪魔にただただ痛みを我慢するしかなかった。

「いた・・・ぁぁ・・・ん・・・」
「・・・くっ!」

久しかったのか悪魔は早くに精液を中に吐き出した。
一物を取り出し満足した表情で涙を流しながら息を荒げている十四郎を見る。

「これから毎日お前を抱く。もうお前は俺から逃げられない。」
「逃げるつもりはねぇよ・・・。なぁ、あんたの名前を教え欲しい」
「俺に名前などない。」
「じゃぁ俺が付けても良いか?」
「勝手にしろ。」

うーんと考え込んでいる十四郎。
俺を見てたいして怖がりもせず、俺の中に入りたいと言った。
悪魔はそれが不思議でしょうがなかった。
悪魔の姿を見れた人は他にも何人かいた。
しかし皆その姿を見た瞬間怯え叫び殺さないでと懇願する。
他とは違う。こいつを取り込めばきっと人間になれると悪魔は確信した。

「・・・晋助ってのはどうだ?人間になった時変な名前だとおかしいだろ?だから人間っぽい名前にしてみた」
「好きにしろ。」
「じゃぁ晋助に決定だな!」

そう言って悪魔に微笑む。
自分に微笑みかけてきた人間なんていただろうか。
ごく僅かな胸の高鳴り。
しかし本人はその高鳴りに気付いていなかった。





朝。
十四郎は目が覚め上半身を起こす。
隣りには悪魔・・・もとい晋助が横で寝息をたてている。
昨晩いきなり現われお前を食うと言われたが、十四郎は恐ろしいとあまり感じなかった。
今もそうだ。隣りで寝ている姿を見ても、最初に感じた恐怖がもう全く無い。
それよりも、この体に、晋助の体に入れるのならと思うと興奮する。
体に入ってしまっても意識はないのだろうけど、それでも十四郎はこの中に入りたいと思う。
手を伸ばし、晋助に触れようとした瞬間、コンコンとドアがノックされる音。

「十四郎坊ちゃま、朝食の準備ができました。」

執事がやってきたのだろう。
晋助を見られたらまずいと、勢い良く晋助を揺さぶる。

「(おい!!人が入ってくるから姿を隠せ!!)」

大きく体を揺さぶられ、むにゃむにゃと言いながら起き上がる。

「俺は普通見えねぇんだ。見えてるお前が珍しいんだよ。」
「え、そうなのか?」
「俺の存在は無視しとけ。」
「わ、分かった。」

それを聞いて安心し、ドアの向こうから心配そうに名前を呼んでいる執事を慌てて中へ入れる。
執事は白髪で、年老いていて表情は柔らかく優しそうで、いかにもな執事だった。
見えないと言われてはいるが、やはり見えるのではないかと少し心配していたが、どうやらその執事には全く見えていない様子だった。

「それでは坊ちゃま、これを。」
「ん。」

そう言って執事が取り出したのは・・・手錠。
それを十四郎の両腕にはめる。
手錠をしたまま執事に食べさせてもらっている十四郎。
その異様な光景に晋助はただ見入るしかなかった。

食事が終わり執事が出た直後、晋助はすぐさま十四郎に質問する。

「なぁ、なんで食事に手錠?」
「・・・」

十四郎は黙り込み下を向く。

「・・・死ぬかもしれないから。」
「・・・?」

するとまたドアがコンコンとノックされ、さっきの執事が中に入る。

「十四郎坊ちゃま、ご主人様がお呼びでございます。」
「!!!お父様が・・・」

お父様に呼ばれている。
その事実に十四郎の体はガクガクと震えていた。

「わ・・・分かった・・・・。」

そう言いおぼつかない足で歩き出す。
晋助はついて行こうか迷ったが、自分には関係ないことだとその場に残った。

バタンと閉まるドア。
しんと静まり返る無駄に広い部屋。
部屋をぐるりと見回すけれど、本当にシンプルすぎて逆に気持ち悪い。
晋助はベッドに寝転び天井を見る。
十四郎の震えていた背中が目に焼きついて離れない。
親と何か問題でもあるんだろうか・・・・・。
そう思っているとハッと我に返り頭をぶるぶると振る。
何を考えているんだ。俺はアイツをただ食うことだけを考えてれば良いんだ。余計な感情はいらない。どうせ最後は俺の中に入るのだから。

しかし。
それでも晋助は十四郎のことが頭から離れない。
ベッドから起き上がり、閉まっているドアをするりとすり抜け、十四郎を探した。





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