「なんか、先生明日屯所を出るらしいぜ。」
「え、明日って先生の誕生日じゃん!せっかく局長も誕生日会するっつって何日も前から張り切ってたのにな・・・」



最大の理解者が最大の敵。
もっとも危険な男、土方十四郎。
しかし、そいつを手に入れたいと思ったのはいつだったか。
僕の方が優れているというのに、隊士たちは僕ではなく土方を尊敬し、土方に着いた。
それが悔しかったのかもしれない。僕はこんなにも成績を残しているというのに。
土方を手に入れたら、僕はきっと一番になる、そう思ったのかもしれない。

出張が決まった今日、僕は屯所を出る前にやらなければならないことがあった。
そう、土方十四郎を手に入れるということ――。


「ふ・・・・ぁ・・・なん、でっ・・・」

今僕の下で鳴いているのは紛れもなく僕が手に入れたかった男。
訳が分からないと言うように必死にもがいている。

お茶の中に媚薬を仕込んだ。
彼はもう快楽を嫌でも求めるようになるだろう。

「土方君、君は罪な男だ・・・」

手に入れて僕はその時初めて君に勝てると思っていた。
しかし、この思いが、君に対する思いが、敵対から好意に変わっていたなんて。
いや、最初から、君を見た時から、本当は一目惚れだったのかもしれない。
その時点で僕は君に負けていた。

僕の下で鳴き続け、顔は耳まで真っ赤に火照り、薬の所為でいやらしく体を求めてくる姿はとても綺麗で、興奮する。
突き続けていた一物が限界に近づくと、土方から抜き、顔射した。

白いヌメヌメした液体が土方の顔から滑り落ちる。
自分の精液が土方を支配したように思え、満足する。

僕は自分の体だけ処理をし、部屋を出ようとした。
すると腕を掴まれ動けなくなる。そのまま思い切り引っ張られ、僕の唇と土方の唇が重なった。
まだ媚薬の効果が残っているからだろうか。しかしいきなりのことで硬直してしまう。

「お前・・・明日屯所出るんだってな。」
「あぁ。」
「お前、明日誕生日なんだってな。」
「あぁ。」

これは俺からの誕生日プレゼントだ。そういってもう一度口付けされる。
びっくりしたか?と聞かれまぁなと冷静に答えたが、内心は心臓がバクバクで相手にも聞こえるのではないかと思うくらいだった。
いくら媚薬が効いてるからとはいえ、ここまでするのだろうか。

「さっきのお茶、飲んでないから。」

心の中を見透かされたようにそう言う土方。
全ては自分の意思で。という事だろう。僕は心が跳ね上がる勢いで土方に乱暴にキスをし返した。

時計の針が、午前12時を指す。

「誕生日おめでとう。」

どうやら僕は君に完敗みたいだ。






END
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あとがき。

鴨ちゃん誕生日おめでとう!!!!!
これは鴨ちゃんが戻ってくる前の、出発前のお話的な感じで。
私結構伊土好きなんです。
だって「土方こそ僕の最大の理解者だ」とか言ってる時点で十四郎のこと大好きですよね(笑)
でも原作では星になってしまうので、パロとかで伊土小説を書いていけたらなと思ってます^^

読んで頂きありがとうございました!




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