今日はクリスマスイブ。
しかし俺にはそんなの関係ない。
いつもと同じように攘夷志士を追いかける毎日。
恋人がいない訳じゃない。ただ仕事をすることが当たり前すぎるのだ。
逆に休みになった方が仕事したくてうずうずするだろう。

それに

追いかけてる奴が俺の恋人だなんて笑える話だな。

付き合い始めて、初めてあいつがイブの日に歌舞伎町に来ているという噂を耳にした。
もしかして・・・なんて期待している俺が乙女みたいで気持ち悪い。

毎回追っているときは会いたい気持ちと会いたくない気持ちが半々。
仕事中に会ってしまうと捕まえなければならないからだ。

複雑な気持ちを抱えながらアイツを探していたが、結局捕まえることは出来なかった。

夜になり屯所へ帰り私服に着替える。
ぶるっと身体が震え羽織を着る。


―よく冷えるな。


そう思いふと外を覗く。
すると白いものががふわふわと俺の顔に降りてくる。

「雪・・・・」

こういうのなんていうんだっけ。ホワイトクリスマス?
こんな時アイツがいたらなんて言うんだろうか。
そう思い想像すると自然と笑いがでる。
そして急に寂しくなった。


「・・・そういや煙草が切れてたんだっけ」

本当はスットクが何箱かあった。
けれども外に出たいが為に、誰に向かって言ったわけでもない言い訳をして外へと向かった。

屯所から少し離れたところに煙草の自販機がある。
そこへ両手を自分の息で暖めながら向かうと、そこには


アイツがいた。

「よォ・・・。来ると思ってたぜ」
「・・・・・」

いつから待っていたのだろうか。
こんな寒い中ずっと待っていたのだろうか。
しかも俺が来るなんていう確証なんてなかったのに。

嬉しい気持ちを表を出すのが恥ずかしかったが、
なにか話したら感情が溢れ出しそうで、黙っていることしかできなかった。

「今日はホワイトクリスマスらしいな・・・めでてぇじゃねぇか、お前と初めて過ごすイブがホワイトクリスマスなんてよ。江戸ではこの日に雪なんて珍しいらしいぜェ?」

ほらやっぱり。
こいつはこんなこと普通に言いやがるんだ。
そしてやっぱりこいつは俺の知ってる奴なんだ。
そう思うと安心してフッと笑いが出た。

「何笑ってやがる」
「・・いや。ってかお前その着物、羽織着てるからって寒すぎるだろ。特に足元」
「うるせぇ!」

そう言って少し照れた顔するのが可愛い。
こんな表情するんだなんて、付き合って初めて知った。
俺だけが知ってる。なんて少し自意識過剰だろうか。

「・・・ったく口の減らねぇ野郎だ。ほら、行くぞ」

そう言って微笑み俺に手を差し出す。
その手を握ると俺の手もこいつの手もこの気温の所為でとても冷たかった。
けれどそんなの気にならないくらい、俺の身体は火照っていた。






END
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あとがき。

ちょいと遅くなったクリスマスネタでした!



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