ピンポーン

「すいませーん、銀時くんいますかー?」

俺桂小太郎は万事屋銀ちゃんを営む坂田銀時の家に来ていた。
しかし呼び鈴を鳴らしても誰も出る気配はない。
この前いないと思っていたのにカギが開いていて入ると爆睡している銀時がいたことがあった。
今回もそのパターンだろうか。
俺は取っ手に手を掛けると、玄関は開いた。やはり同じパターンか。
そう思いながら中へ入って行く。

「おじゃましまーす。銀時また寝てるのか?」

中へ入ると驚きで足を止めてしまった。
そして身構える。
・・・なぜならそこに土方がいたからだ。
土方十四郎。真選組鬼の副長と言われる男。
銀時と関わりがあるとは知っていたが何故いるのだろう。それに銀時のいる気配はしない。
俺が何故逃げずにこんなことを考えられるかというと、土方はソファで気持ちよさそうに眠っていたからだ。
そろりそろりと足音を立てないように土方に近づく。
近くで見てみると顔はよく整っており、長い睫毛、一瞬女子(おなご)ではないのかと思ってしまうぐらいだ。

「・・・ん・・・ぎんとき・・・?」
「!!!」

どうしよう起きてしまった!!!
ゆっくりと目を開け土方が話しかけてくる。

「おー、今帰ったぞ、お前はまだ寝とけ(裏声)」
「んん〜・・・あれ・・・?」

やばい、バレたか!?


「お前声変だぞ?風邪引いたか?それに髪が黒い・・・?」
「ちょっとイメチェンだ(裏声)」
「ふ〜ん・・・寝る」

そう言ってまた土方はスースーと眠りだした。
・・・ばかだ、完全に寝ぼけている。
しかしそんな土方を見ていると自然と笑顔になっていた。

「はて、土方は銀時と呼び捨てなどしていたか・・・?」

この二人の関係はもしかして深いものとなっているのかもしれない、そう感じた。
そしてそれと同時に新しい感情が芽生えてくる。
土方を奪ってみたいと。いつも逃げることに精一杯で土方をまじまじと見る機会がなかったが、こうやって見てみると凄く惹きつける顔をしている。
俺は寝ている土方の唇にそっと自分の唇で触れた。

「ん・・・・」

土方はこんな色っぽい声も出すのか。
今日は沢山新しい一面を見れて面白かった。
そう思いながら銀時の家を出ると、ちょうど帰ってきた銀時に出くわした。

「あ、ヅラ」
「今日は面白いものを見せてもらった」
「あれ?いつものヅラじゃないとか言わないの?」
「さらばだ」
「あれ?スルー?なにそれひどくない?」

その場を後にし先ほどのことを思い出す。
明日もまた土方と会えるだろうか、そう思い胸を高鳴らせていた。



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