「これがあの土方十四郎という男なのか・・・?まったく無様な姿でござる」
「・・・・・・」
どこか分からない薄暗い部屋。
土方は座ったまま柱に縄できつく全身を縛られ、身動きが取れない状態になっている。
しかし恐怖という表情は何一つ見せず、言葉を放つ人間を睨みつける。
「・・・殺すなら、早く殺せばいいだろう。お前んとこの頭(トップ)は何考えてんだ?」
そう言うとヘッドホンをした男はフッと笑う。
「それは拙者にも分からないでござるが・・・どうやら晋助は土方を気に入ったらしい」
「・・・気持ち悪いことを言うな」
「・・・でも、確かに綺麗な体をしているでござる」
「おい、何回も言わすな、気持ち悪いことを―っ!?」
男は土方の前でしゃがみ土方の顎をぐっと掴む。
「それにこの整った顔・・・っ!」
土方は男の顔に勢いよく唾を飛ばす。
「反吐がでる」
きつく睨んだ目。
それをもっと興奮させてしまう薬になるなんて本人は思ってもいない。
「!?」
男は土方の唇を奪い、そのまま舌を咥内へ入れ込む。
「ふっ!んんっ!!」
必死に拒むが縄で体を括り付けられ、顔は男の手で固定されているため、逃げることはできない。
それが分かると土方は咥内へ入ってきた男の舌を思い切り噛む。
「つ・・」
咄嗟に顔が土方から離れてしまう。
「てめぇ・・何のつもりだ・・」
「・・綺麗だと思ってね。そのまっすぐな瞳・・・いや土方の体そのものが綺麗で、少し興味がわいたでござる」
そういうと男は立ち上がり背を向ける。
「晋助が戻ってくる時間だ。こんなことをしているのがばれたら殺されるでござるからな、退散するとしよう」
「・・・ぜってぇ殺す・・・」
男はフッと笑うとその場から消えていった。
―晋助が独り占めするなんてずるいでござる。少しは拙者にも楽しませて欲しいものだ。
END