土方と別れて数日。もう屋上にも行ってないし土方とは話すどころか目も合わせていない。
しかし同じクラスなので嫌でも見るわけだが、最近土方の様子がおかしい。
元々細い体をしていたのに最近はもっと痩せこけ、いつもの元気な姿はなかった。
土方と仲のよい近藤や沖田も心配しているらしい。昼休みの時間、食え食えと誘うのだが食べる気がしないと拒否していた。
何かあったのか。流石に俺も心配するが、もう別れた身、またあんな別れ方をして話しかけることも出来ない。

(銀八と付き合って幸せにしてるんじゃないのかよ・・・・)

頭の中がもやもやする。嫉妬している自分にイライラしながら教室をでた。

ある日の放課後、廊下で鉢合わせる。廊下の窓から夕日にてらされた土方はやはり細く、抱きしめたら折れてしまうんじゃないかと思った。
土方は俺を見た瞬間立ち止まりびっくりしたような顔をし、そして何かを訴えるような、縋られてるような、そんな目をした。
しかしすぐに顔を下に向け歩き出す。俺も何も言えず無言のまますれ違う。すると後ろでなにかがドサッと落ちる音がした。
何かと思い振り返ると、土方が倒れていた。俺は驚き土方に駆け寄る。

「おい、土方!大丈夫か!?」
「しんすけ・・・・」

久々に下の名前で呼ばれこんな時にドキドキする。
とりあえず土方を抱き上げ、保健室に向かった。

保健室に着くとベッドに寝かせてやり、学ランを脱がしワイシャツのボタンを二、三個開け楽にしてやる。
ボタンを外した瞬間俺は驚愕した。
首筋に沢山のキスマーク、そして首を絞められたような痣。
これ・・もしかして銀八が・・?
嫌な予感がしボタンを全部開け脱がす。すると予感は的中した。土方の体は痣だらけだった。

「なんでこんな・・・・」

信じられなかった。銀八と上手くいってたんじゃなかったのかよ。
訳が分からず混乱する。すると土方が力の入らない体をふるふると動かし俺の腕を握る。

「誰にも・・いわな・・・で」

何故隠す必要があるのだろう。何故別れようとしないんだろう。それだけ銀八のことが好きなのか、それとも言えない、別れられない理由が他にあるのだろうか。。
ここにいては危険だと感じた俺は土方を連れ出し俺の家へ向かった。





「歩けるか?」
「うん、大丈夫。」

学校から土方を支えながら俺の家に向かう。
幸いなことに学校から約10分くらいの場所に俺の家はある。
マンションの2階に着き俺んちここ。と玄関ドアを指差す。
部屋に入り土方を休ませる。土方は不思議そうにキョロキョロしていた。

「高杉ってもしかして一人暮らし?」
「あぁ。一人の方が楽だからな。親に無理言って一人暮らしさせてもらった。」
「そうなんだ・・・」

そういや言ってなかったな。そう思いながら冷蔵庫を開けお茶を取り出しコップに入れ土方に渡すとありがとうと言いお茶を飲み始めた。
俺はそれを見ながら何故こうなったのかと質問した。
すると今にも泣き出しそうな声で話し始めてくれた。
銀八に嫌々ながらされたこと、写メを撮られ脅されたこと、行為をする際毎回暴行を受けるようになったこと。
全て聞き終え俺の体は怒りで噴火しそうだった。
その反面、それに気付かなかった自分を呪った。こんな姿になるまで俺は分からなかった、というより見ようともしてなかった。後悔で胸が苦しくなる。それを察したのか土方は俺が全部悪いから。と言う。
俺はそんな土方をみて優しく抱きしめ、震える声でごめん、ごめんと何度も誤った。
すると土方は目から大粒の涙を流しうっうっと嗚咽を漏らしていた。

「しんすけ・・・おれ、晋助のこと大好きだから・・・でも晋助を嫌な思いさせて・・・ごめ・・・ね」

悔しさで涙が止まらない。抱きしめる手に力が入る。俺はお前は全然悪くないと何度も言い聞かす。

「十四郎。俺、銀八と戦う。こんな目に合わすなんて許さねぇ・・」
「しんすけ・・・・」
「俺と一緒に戦おう。明日、一緒に銀八に会って、俺達がそんなんで壊れることはないって言うんだ。大丈夫。俺が助けてやる。」

十四郎は涙を流したまま大きく頷く。
今日はここにいろ。そういうと嬉しそうにまた頷く。
久しぶりに見た十四郎の笑顔。俺は嬉しくなり頭を撫でてやる。
その手を下げ頬に。そして顔を近づけキスをする。今まで以上に深く甘い口付け。
そのまま俺のベッドに入れてやり、狭いベッドで二人寄り添う。

「あったかい・・・・」

そう言って俺をぎゅうっと抱きしめる。愛しくて愛しくて、もう絶対に離さないと心に誓う。
ずっと撫でてやるとすぅすぅと寝息を立て始めた。
寝顔が可愛くて綻んでる自分がいた。十四郎がいるだけで幸せな気持ちになる。
だんだん俺も眠気がきて暗闇の中へ溶けていった――。









――朝起きると十四郎はいなかった。
携帯に掛けてみても出る気配がない。
嫌な予感がしながら学校へ行く。が、授業が始まっても十四郎の姿はなかった。
そして、銀八の姿も。
1限目の途中で我慢できず教室を出る。急いで屋上へ。
もしかしたらまた、十四郎がタバコを吸いながら、「今日も早いな」と微笑みながら話しかけてくるんじゃないか?
勢い良く屋上の扉を開ける。十四郎がいた。駆け寄る。その場へ行き、その姿が幻だと知る。
幻まで見るぐらい、余裕が無くなっていた。
どうしたらいい。俺は崩れ落ち頭を抱える。
すると後ろから足音が近づく。

「十四郎がどこにいるか知りたい?」

後ろを振り向く。逆行で俺を見下ろした銀八の姿はなんとも恐ろしかった。





Continue......

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