はじめに。
「if...」の続編ですので
最初に「if...」を読むことをお勧めします。
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何週間と経っても、俺は土方の顔を一度も見なかった。
そんなある日の夜。
外を歩いているとずるずると体を引きずりながらこちらに歩いてくる男。
「・・・!ぎんとき・・・!」
「・・・・」
土方は俺を見て心底驚いていた。
その土方の首筋には大量の痕、直すのも面倒だったのか乱れた服。
今日もきっと“接待”だったのだろう。
「・・はっ。欲求不満な淫乱土方くんは夜な夜な誰かに抱かれに言ってたんですかぁ?」
「・・・・・」
土方は何も応えることなく俯く。
なんでだよ・・・
「おい、」
俺は土方に近づき胸ぐらを掴む。
「なんとか言えよ淫乱」
「・・・・」
それでも土方はうな垂れたままこちらの顔を見ようともせず黙っていた。
何故本当のことを言わない?
あの時は言おうとしてたのに。
『上の人の命令で遊ばれてる』って、何で言わない?
この前沖田に初めて聞かされて、俺は・・・・。
もし本当の事を言ってくれたら、「大変だったね」「辛かったね」って抱きしめてやるのに。
「・・・だよ」
「え?」
小さな声で呟く土方だったが、それがだんだんと大きな声に変わっていく。
「そうだよ。俺は夜な夜な抱かれに行く淫乱だ。これで満足か?」
・・・あぁ。俺達は、素直になれないまま、きっと、このまま・・・。
「・・・そうかよ」
「!?なにすっ―」
俺は土方の手首を掴み路地裏へと連れ込む。
そして壁に土方の背中を叩きつけ乱暴にキスをした。
「んんっ・・・なん、で・・・」
なんで?それはこっちの台詞だろうが。
土方の服を脱がし始める。
元々乱れていた為上はそのままで、ズボンを勢い良く下ろす。
「やめっ・・!」
後処理出来ていない身体。
股からは白い液体が身体に沿って流れていた。
「おいおい零れてるぜぇ?」
壁に押し付けていた背中を今度は地面に場所を変え、仰向けの状態にさせる。
土方の足を開きそのまま秘孔へ指を一本入れ、精液を出すようにかき回した。
「あっ・・やだっ・・!やめろ・・っ」
「なんで?俺の指すげぇ勢いでくわえ込んでるのに」
俺はそう言って笑いそのまま手を動かし続ける。
出しても出してもまだ出し切れない精液。
一体どのくらいヤられたんだろう。想像するだけでもゾッとする。
「あっ・・・あっ・・・」
最初は嫌がっていた土方も甘い声を出すようになり、一物も力を持ち始めていた。
「はは、後ろいじるだけで勃っちゃうんだ」
全て精液を出した所で、俺の自身を土方の秘孔へ乱暴に挿れる。
先ほどまで違う誰かのモノを咥えていたソコは簡単に俺の自身を飲み込んだ。
そして乱暴に腰を振った。
「あっあっあっ」
相手のことなんて考えず自分が気持ちよくなることだけを考えて腰を振り続ける。
それでも土方の腰も動き始めていた。
「無理矢理犯されても腰振ってやんの、淫乱。そんなに俺のチンポうめぇか?ん?」
本当はこんなこと言いたいわけじゃないのに。
「あ、ぎんときぃ・・・っ」
「・・っ!」
涙を流し、顔を火照らせ俺の名前を呼ぶ。
その姿に俺は感じ絶頂が近くなっていった。
「あ、あ、あああっ!!」
どんどんとピストンを速めると土方は大きな喘ぎ声と共に精液を吐き出した。
「くっ・・・」
その後を追うように俺も土方の中に欲望を吐き出す。
息を乱し繋げたまま動かない俺に土方はまた「なんで」と呟いた。
「なんで、こんなことすんだよ・・・俺のこと嫌いなんだろうが・・・」
「・・・・」
「せっかく、せっかく諦めようとしたのに、また、俺は、お前のこと・・・」
「ひじか・・・」
土方はボロボロと涙をこぼし、それを必死に両手で拭う。
あんな酷いこと言って、またこんな酷いことして、それでもまだ俺の事が好きなのか。
・・・好きでいてくれるのか。
なんでだよ、どうしてだよ。
「ぐっ・・!」
いつの間にか俺は土方の首元へ手が伸びていて、
「・・・暇だったんだよ。性欲処理として利用しただけだ、調子にのんな」
そう、言っていた。
***
「あ、マヨラーとゴリラがいるネ!」
数日後。
神楽と新八とで仕事帰り歩いていると、土方と近藤に出くわす。
「神楽ちゃん、ゴリラは酷いんじゃない?俺人間だからね?」
「うそアルううう!!お前が人間なんて信じないアルよ!」
「・・・ねぇ、トシ、泣いて良い?」
「・・・・」
土方は煙草を吸いながら無言で近藤と神楽のやりとりを眺めていた。
「・・・おい、俺らはお前らに構ってる暇はねぇんだよ。用が無いなら話しかけるな。行くぞ近藤さん」
「あ、トシ!待って〜〜!!」
俺達に背を向けて歩いていく。
俺は土方の元へ走り、土方の手首を後ろにグッと引っ張った。
「今日の夜いつものところで」
「・・・っ」
耳元で囁くと土方は動揺した顔をし俺を見る。
何か言いたそうにしているが手を離し俺はその場を去った。
「トシ・・・・?お前、なんで泣きそうな顔してんだ?」
「っ・・!気のせいだろ」
「はっ・・んっ・・い、あ・・・!」
あの日から俺達はまた最初の頃のようにセックス漬けの毎日になった。
意思とは逆に、土方の体は壊れていく。
首や手首には縄で縛られた跡。
どんどんと傷を増やしていく身体。そのようにしているのは俺。
今日も乱暴に抱き疲れきった土方は俺の横で寝ている。
こんなにも酷く扱っていても、土方は俺の元へやってくる。
どうせなら、俺を嫌いになればいい。
そしたら楽なのに。
「く、そ・・・」
俺は手を額に当てうな垂れる。
「ごめんな、ごめんな、十四郎・・・」
泣きそうになるのを我慢しながら土方に詫びる。
けれどこの声なんて寝ている土方に届くはずなんてない。
***
公園へ行くと、ベンチで休んでいる土方を発見した。
俺も、土方も、一人だ。
これなら素直になれるチャンスかもしれない。
言え、言うんだ、俺。
「好きだ」って「本当はこんな事したい訳じゃない」って。
手に力を入れ気合を入れる。
そして土方に歩み寄った。
「土方」
名前を呼ぶとビクンと反応し、俺の顔を見る。
言え、言うんだ。
けれど、俺は
「セックスしよっか?」
END
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あとがき。
好きなのに、どうしても素直になれない。
行き違い同じ道に進むことは出来ないそんな二人の話でした。