はじめに。
死ネタです。
沖土ですが見ようによっては土沖に見えるかもしれません・・・;


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「御用改めである、真選組だ!!!」

攘夷志士が潜伏しているという話を聞きつけ、斬り込みにかかる。



そして全員斬り、死体の片付けを行なっている時だった。

「ゴホッゴホッ・・・!」


急に沖田は咳き込んだかと思うと、吐血。

「総悟!?おい、総悟!!!」

沖田は土方の呼ぶ声も聞き取ることが出来ず、そのまま倒れた―。







「肺結核ですね」
「そん、な・・・うそだろ・・・」

屯所。
沖田が寝ている横に医師と近藤、そして土方が座っている。

肺結核は不治の病とされ、治す方法は無かった。
ただただ弱っていく姿をみることしかできない。


「おい、嘘だろ?てめぇが病気で死ぬたまかよ・・・!!」
「トシ!」

土方は寝ている沖田を跨ぎ胸ぐらを掴み叫ぶ。
近藤は必死に土方を抑えた。


「ゴホッ・・・土方さん・・・病人に対してひでぇや・・・」
「・・っ、すまん・・・」

声は弱々しい。
こいつは本当に総悟なのだろうか、そう疑いたくなるぐらいに。

「しかも・・・ゴホッ・・・死ぬ前提ですかぃ?・・・俺は、こんなことじゃ死にませ・・ゴホ
ッゴホッ・・・!」
「総悟・・・」
「俺はまだ諦めちゃいねぇ・・・」
「!!!」


沖田の瞳はまだ死んではいなかった。
一番ショックなのは誰よりも本人のはずなのに、誰よりも強いのも本人だった。
それを目の当たりにした土方は、決心した顔し、そして笑った。


「流石だな」

そう言って沖田の髪を撫でた。

「・・・そんなことする土方さんなんて気持ち悪いですぜ」
「黙れ」


二人は笑い合う。


「私の友人が肺結核の勉強をしているようでもう少しで特効薬が完成するようなんだ。かなりリスクはあるが試してみるかね?」

医師が真剣に沖田に言う。
近藤土方沖田は各々顔を見合い、頷いた。
答えは決まっている。




「お願いします」






数日後。


薬はまだ完成していない。
沖田の病状は悪くなる一方だった。
それでも必死に生きている。
弱音を吐いたりせず、相変わらず皮肉を言ったり。
隊士たちは沖田のその生きざまに励まされるぐらいだ。



夜、土方が沖田の様子を身に部屋へ向かうと、部屋から大きく咳き込んでいる音。

「総悟!?」

勢いよく襖を開けるとうずくまり苦しそうにしている総悟の姿。

「土方さ・・・ゴホゴホッ!!」

慌てて沖田に近づき体を支える。

「しっかりしろ、早ければ明日薬が届くらしい。あとちょっとだ」
「土方さん・・・」

声はいまにも消えそうだった。

「俺ァもうだめかもしれねぇや・・・きっと死ぬ」
「・・・っ!」

初めて聞く沖田の弱音。
確かに、どんどんと体は痩せ、最初の頃より確実に弱っている。
けれど、けれどこんな弱音を吐く沖田を見ていたくなかった。

「このまま死ぬのも悪くねぇかなって―」
「ふざけんな・・・ふざけんな!!てめぇはいつも俺を本気で殺そうとしてたくせに俺を置いて死ぬのかよ・・・!」
「土方さん・・・」
「そんなの俺が許さねぇよ・・・」
「!?」

土方は沖田の胸ぐらを掴みそのまま自分に引き寄せ、激しく沖田に口づけをした。

「んっ、土方さ・・・!そんなことしたら土方さんまで・・・!!」
「黙れ・・・関係ねぇんだよ・・・俺を置いてくんじゃねぇよ・・・」

声は段々と小さくなり震えていた。
瞳からはポロポロと涙を流していく。

「土方さん・・・」

沖田はそっと土方の頬に手を触れる。

「土方さんからキスされるなんて初めてでさぁ」
「うるさいっ・・・」

土方の涙は止まることを知らない。

「あーあ。なんでこんなに土方さんは可愛いんですかねぃ。こんなんじゃあの世に行きたくなくなりまさぁ」
「総悟・・・」

名前を呼び沖田の顔を見ると、同じように涙を流していた。

「・・・たい・・・まだ生きたい・・・!」

沖田は土方の服を両手で掴み訴えるように泣く。

「離れたくない・・・大好きなんでさぁ・・・!」
「そ・・・ご・・・」


泣き叫ぶ沖田を土方は優しく抱きしめた。









次の日、沖田は帰らぬ人となってしまった。

沖田の顔に白い布を被せ、近藤と土方、そして隊士達が沖田を囲むように座り、
涙を流す。
しかし土方だけは涙を流していなかった。

「意味、分かんねぇよ。本当に死んでんのか?脅かすつもりなんだろ?なぁ・・・」
「トシ・・・」
「なんで逝くんだよ!!お前は・・・ゴホッゴホッ!」
「トシ!?」

手を抑え咳き込むと、手には赤い液体。

「トシ・・・まさか・・・」








「トシ、これ射ったら治るから」
「いらねぇ」

だれよりも沖田の近くにいた土方は伝染した。
沖田が亡くなった日に届いたワクチンを土方に射とうとするが、土方は拒み続け
る。

「射たないと死んじゃうよ」
「死んでもいい」

本心だった。
沖田がいなくなったこの世でどう生きたら良いのか。
このまま死ねば沖田の元へ行けるのではないか。
そんなことばかり考えてしまう。

「じゃぁしょうがない」
「?」

はぁとため息をついた近藤がスッと手を挙げた。
すると隠れて様子をみていた隊士たちが一斉に土方に飛びかかる。

「!?なにす・・・!」

土方の体を何人かで押さえつける。
土方は力も出るはずもなく簡単に押さえつけられ、その隙にワクチンを射たれた。

「く・・・そ・・・なんで・・・」

死なせてくれない。腕で自分の顔を隠すようにし、そう言いたそうにしているようだった。

「俺・・は、何も出来なかった・・何も・・・だったら俺は・・」

バチンッ

大きな音が響きわたる。
一瞬、土方も隊士も、何が起こったのか分からなかった。
しかし土方の頬がジンジンと痛み出し。
平手打ちを食らわされたのだと、ワンテンポずれて理解する。

「総悟の気持ちを考えたか?生きたくて生きれなかった総悟に失礼だ」
「―っ!」

『・・・たい・・・まだ生きたい・・・!』

確かに沖田はそう言っていた。
そうだ。なのに自分は・・・。

「・・・っ・・・ごめん・・・ごめんなさ・・・」

土方は俯きそう言って涙を流した。
隊士たちの前では絶対泣かなかった土方。
しかしこればかりは感情を制御することが出来なかった。

近藤は土方の頭を自分の胸に押し付け、一緒に泣いた。






***

「この場所に攘夷志士が10名。一気に斬り込む」
『おお!!』


沖田が亡くなり数日。
真選組は攘夷志士がいると思われる建物の前にいた。
土方は一度空を見上げる。そして、何を思うのか。
大きく深呼吸し、ギンッと目を光らせ戦闘態勢へ入る。
ギュッと力強く握る刀。
それはかつて沖田が使っていた刀だった。

「行くぞ!」

土方の合図とともに、真選組は今日も戦う。










END
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あとがき。

今日(7月19日)は沖田総司の命日みたいだったので、
新撰組パロを少し入れてみました。
一度新撰組の話しをそのまんま真選組に置き換えた話を作りたいです。



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