はじめに。
高杉目線の話しになります。

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初めは、ただの真面目っこちゃんだと思ってた。
けど案外煙草が大好きな奴で、見た目だけじゃ分かんねぇんだなって思った。
それにあいつは

「俺も意外だったよ、高杉って愛想悪いのかと思ってた」

普通、そんな正直に本人の前で愛想悪いなんて言うか?
確かに、否定はしない。
裏でこそこそ言われてんのも知ってる。
けどこいつはバカ正直で、他の奴らとは違う。
それに、こんなに話したのは久しぶりだった。
こいつとは話が合う。
社会人になって初めてのことだった。


そして土方のことが気になるようになっていた。
飲み会なんて絶対行かなかったけど、こいつがいるなら行こうかなって。

―・・土方が席を外してなかなか帰って来ない。
なんだか心配になった。・・・あれ、俺こんなキャラだったっけ?

探しに行くと、男と言い合いになってた。

「十四郎、好きだ・・・」

そう言って男は土方に触れる。
え、なに、これ。

「土方・・・?」
「!!!」

咄嗟に名前を呼ぶと驚いた表情で土方は俺を見た。
そして「助けて」って言っているようにも見えた。
俺は土方の腕を掴みその場から離れる。

「・・もしかして、さっきの会話聞かれた・・・?」
「・・・・あぁ」

そう言うと土方はこの世の終わりみたいな顔して今にも泣きそうだった。

「(こいつ、ゲイだったんだ)」

そんな風には見えなくてびっくりした。

「気持ち悪くないのか?俺のこと。男が好きなんだぜ?」
「別に。男が好きだろうが女が好きだろうがそいつの勝手だろ」

本心だった。
ゲイだろうがなんだろうが土方は土方だ。
気の合う同僚。
そんなことでいちいち嫌いになる奴の考えの方が理解できん。


それから土方とはよくつるむようになって。
こいつといると忘れてた感情を思い出させる。
楽しいとか、嬉しい、とか。
社会人になってそんなもの忘れてた。
人と深く接することが面倒だって思ってた。
けどこいつと関わるようになって、俺は少し変わった気がする。
こいつの笑う顔を見たらこっちまで笑顔になる。
なんだろうな、こいつは笑ったり泣いたり忙しい奴で。けど一生懸命生きてる。
見てるとあぁ俺も頑張らねぇとっていう気持ちにさせてくれるんだ。
だからこいつが悲しい顔すると助けたくなる。
元カレから着信来た時も、いつのまにか携帯奪って喋ってた。
けど、後悔した。




「好き、だ」




驚いた。
まさか告白されるとは思ってなかったから。
なんでだよ、俺達そんなんじゃねぇだろ?
確かに俺は土方のことを気に入ってた。
けど俺普通に女が好きだし。
・・・いや、俺も悪かったかもしれない。
あいつの気を惹くような言動をしてなかったと言えば嘘になる。
俺は意識してなかったけど、あいつはそうじゃなかったかもしれない。
・・悪いことをした。そんなつもりじゃなかったんだが。


「ごめん、それは、無理だ」


けどやっぱり無理だろ。


「そう・・・だよな・・・」
「すまん」
「いや、こっちこそごめん。・・・じゃぁ俺先戻るわ」
「・・・おぉ」


一人になり煙草に火をつける。

「(あぁ・・・やっぱ人と関わるのは面倒だ)」



***

次の日土方は死んだ顔して出勤してきた。
どう見ても泣き疲れたって顔してんなぁ・・・。
土方の顔を見てるのが辛くて、昼は外へ出かけた。

・・・帰ってくると、土方は泣いてた。

「土方の様子がおかしいんだがなんでか分からないか?」
「・・・・知らない」

そう言うと土方は一瞬固まり、俺を見た。
・・・面倒だ。
俺はその場から消えた。
もう、人と深く関わるのは止めよう。



***


「おはよう!」


昨日とは打って変わってすげぇ明るい土方が目の前にいた。
けどそれはよくみると違ってて。
隈はあるし、まだ目も腫れぼったいし、そして何より声が震えていた。


「高杉、一緒に飯食いに行かねぇか・・・?」

震えた声でそういう土方。
驚いた。
もう一緒につるむことはないと思ってたし。
それにこいつから誘うなんて初めてだし。
強いんだな、こいつは・・・。

「・・・良いけど」

いつの間にかそう返事していた。




「なんで、誘った?」

心から思った疑問。
こいつの行動は、不思議だ。

「・・・やっぱり俺は、お前のことが好きだ。だから一緒にいたいって思った。ただ、それだけだ」





はっ。
こいつにはかなわねぇな・・・。
そうかよ、ならやってみろよ。
それはそれで、面白い人生を歩めそうだ。








「いつか俺を惚れさせてみろや」




その時を、楽しみにしてるぜェ?










-番外編-END
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あとがき
書いてて楽しい二人でした!


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