「おーい土方ァ、飯行くぞ」
「おぉ」

『なんだ・・・?最近あいつらやけに仲良くないか?』




あの日から数日。
俺と高杉は今まで以上につるむようになった。
今日も公園のベンチで昼食を共にしている。

俺が、普通の人とは違う恋愛をしていても、あいつは気にしなかった。
俺がゲイだって知ってもそれを「そんなこと」と言ってくれた。
その時から高杉に今までとは違う感情を抱いてしまった。
でも高杉はノンケで。
叶わないことは分かってる。それに、
一緒にいれるだけでも俺は楽しかったし、それ以上は望まなくても今の状態で満足していた。
それでも時々疑問に思う。
なんで俺なんだろう、どうして俺と一緒にいるんだろうって。

「どうした?」

考え事をしているのが分かったのか、高杉が話しかけてくる。
こうやって話しかけられるのも俺ぐらいなのだろうか。
今ここで聞いてみてもいいのだろうか。
俺は思い切って口を開いた。

「なんで高杉は俺と一緒にいてくれるのかなぁって考えてた」
「・・・・」

高杉の表情が固くなった。
あれ、聞いちゃいけなかった?
てかこれ最初に話したときと同じパターンじゃん、やらかした・・・。

「分かんねぇんだ」
「え?」
「なんつーか、一緒にいたら落ち着くんだよなァ・・・」
「〜っ!!」


な、な、な、
こいつ、何言ってんのか分かってんのか?
期待するだろ、バカ野郎。
高杉は他の奴とは違っている分、何を考えてるのか分からない。

「土方?」

俺の目の前で手をひらひらとされそれでハッと我にかえる。
どうした?と聞かれ俺はなんでもないと応えた。


プルルルル・・・


俺の携帯が鳴る。
携帯を取り出し表示された名前を見て固まる。
また、あいつからだ。

「電話か?・・・・・・もしかして、あいつ?」

鳴りつづけている携帯を何もせず見つめている俺を見て高杉も元カレだと気付いた。
俺は何も言わずただ頷く。

「貸せ」
「は・・!?」

なんで、と言う前に高杉は俺の手から携帯を奪い通話ボタンを押した。

「もしもし?土方の元カレ?もう電話してくんな。土方は俺のだ」

そう吐き捨てて電源を切り俺に渡した。
俺は携帯を持ったまま唖然として高杉を見る。

「多分これでもうそいつは電話してこねぇんじゃねぇの?まぁまた電話があるようなら言えや」
「・・・なん、で・・」

どうしてそこまでしてくれるんだ。
『土方は俺の』ってどういう意味なんだ。
心臓がドクドクといつもより早く脈打っている。

「・・・?もしかして大きなお世話だったか?」
「違う・・・」

否定するとなら良かったと言いまた弁当を食べ始める。
本当に分からない。一体何を考えているのだろう。

「ほれ」
「!?」

高杉はコンビニ弁当に入っていた卵焼きを箸で掴み俺の口の前まで持ってきた。

「これ食って元気だせよ。ここのコンビニの卵焼きな、めっちゃうめぇんだ、おすすめ」

口を開くと卵焼きが口の中に入っていく。

「・・・うまい」
「だろっ!」

そう言って高杉は今まで見たこと無いような無邪気な笑顔で笑った。
あぁ、やっぱり俺は―

「高杉・・・」
「ん?」

この気持ちは抑えきれない。












「好き、だ」














告白した途端、高杉の表情が変わった。
俺も高杉も喋らない。
1秒がとても長く感じて、息が苦しい。



「それは、どういう意味で?」
「え・・・?」



どのくらい経ったのか分からない。
何十秒ほどかもしれないし、何十分も経っていたかもしれない。
高杉がゆっくりと話し始めた。

「恋愛感情?」
「う、うん・・・」

高杉の表情が、なんだか怖い気がした。














「ごめん、それは、無理だ」

















―ガチャ。


家に戻り玄関のカギを閉める。
そしてその場にしゃがみ込んだ。













「う・・・うぅ・・・ひっく・・・」


涙が止まらない。
馬鹿だろ、俺。
なんで言ってしまったんだろう。
答えなんて分かりきったことじゃないか。
俺のことを他の奴とは違う、特別な存在として見てくれてるって勝手に思って舞い上がってた。
一緒にいたら落ち着くって言われて、土方は俺のだって言われて。
でもそれは単に友達としてであって。
きっと元カレとの会話も、俺のこと助けようとして思ってもいないことを口走ったんだと思う。
嬉しかったよ。でも。
そんなん、期待すんじゃんか・・・。
俺が男を好きなの知ってるだろ?じゃぁなんでそんなこと言うんだよ、バカ・・・。




俺の片思いはあっけなく散ってしまった―。







Continue.......





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