「失礼します」

襖を開けると、布団の上で裸の副長が、息を乱し蹲っていた。

「副長・・・」

名前を呼ぶと副長の体はビクンと跳ねる。
あぁ、きっとまだ薬が完全に切れていないんだろうな・・・。

「山崎・・・」

お願いだから、そんな顔で俺を見ないで。







副長はよく上の方たちと食事に出かける。
そこでは色々な交渉が飛び交っている。
けど、本当のことを知っているのは俺だけ。
副長が相手とセックスすることでこちらに利益を得ているなんて、俺だけが知っている。
なぜならこうやって行為を済ました後、立てないくらいにヤられてしまった副長のお世話をするのは俺の役目だから。
「総悟や近藤さんには見られたくない」
そう言って俺を選んだ副長。
・・・それでも良かった。あの二人に割って入る隙は無くても、他の奴じゃなくて俺を選んでくれたことが嬉しかったから。


「まだ・・薬が残ってて・・苦しいんだ・・・」

震える声で俺に訴える。

「分かってます」

そう言って俺は副長に近づく。

「う、後ろからな・・・」
「分かってます」

俺は副長の上半身を起き上がらせ、後ろから包むように抱き、副長のソレを掴む。

「ん・・・っ」


副長は媚薬を飲まされることが多くあった。
そしてまだ薬が切れていないうちに上の者は帰る。
欲求が満たされない副長は、たまにこうやって俺を使い抜く。
後ろからというのは、顔を見られたくないかららしい。
上の奴には見せといて俺には見せてくれないんだ。
分かっている。けどやっぱり副長が感じている顔が、イく顔が、見たい。
だからこうやって鳴く声を聞きながら、俺は副長の顔を想像するんだ。

「あ・・・も・・・イく・・・っ!!」

一度行為をし終えたはずなのに、沢山の量が俺の手に付く。
そして俺は何事も無かったかのように手を拭き副長に服を着させてあげる。


「もう・・こんなこと止めて下さい」

屯所へ帰る途中、俺は隣りで歩く副長に訴える。
けど副長は表情一つ変えず煙草を吸いながらこう言うんだ。

「この町を良くするためには多少の犠牲がいるんだ」


―違うでしょう。
確かにこの江戸を守る為に副長は沢山努力してきた。
けど、それは。他にも理由があるからでしょ?
あんたがこんなことやっているのは―

「トシ!帰りが遅いから心配したぞ!」
「近藤さん・・・親みたいな言いかたするな・・・」
「すまんすまん。でも本当に大事な俺の宝みたいなものだから心配なんだ」
「・・・っ」

この人の為でしょう?
そうやって照れてる副長を見れるのは、局長がいるときだけ。
俺には分かる。副長が局長に特別な思いを抱いていることは。
・・・そう、俺のように。
局長はなんで気付かないんだろう?
どうしてそんなこと普通に言えるんだろう?
知ってる?局長がお妙さんの話をしている時の、あの副長の悲しい顔。
呆れて笑っているように見えるかもしれない。でも全然違うよ。
今にも泣きそうな顔してる。






今日の夜は何もなかったみたいで普通に帰ってきた。
副長は部屋でもくもくと仕事をしていた。
お茶でも出しに行こうかな。
そう思ってお茶を入れ、副長の部屋と入った途端目に飛び込んできたのは。
机にぐったりと倒れている副長の姿だった。

「副長!!」

俺はすぐ副長のもとに駆け寄る。
すると副長の顔は赤く火照り息も荒い。これは・・・。

「くそ・・・あいつら・・・茶に入れてやがったな・・・」

あぁやっぱり。何もないと思っていたけどそうじゃなかったらしい。
多分、俺の憶測だけど、こうなって苦しむ副長を想像して楽しもうとしていたんじゃないかな。
かなり悪趣味な野郎だ。

「副長、」
「な、お前なにす・・!」

俺は副長の隊服を丁寧に脱がし始める。
そしてシャツも脱がすと、ぴたっと手を副長の突起に当てる。

「っ・・・」
「副長・・・」
「・・・・・・すまん、頼む・・・」

俺が目で合図をすると、一瞬躊躇していたが諦めたのか、俺に身を預けた。
副長を何も来ていない姿にさせると、俺は”前から”副長のものを扱き始める。

「お、おい!後ろからにしろって・・・!」
「嫌です」
「なっ・・・!」

俺も我慢の限界に達していた。
副長の顔が見たい。

「は・・・あ・・やまざき・・・やめ・・」

必死に俺の腕を掴むけど、薬の効いている副長は全然力が出ていない様子で。
俺はそれを利用して副長の顔を見ながら扱き続けた。

「あ・・・あ・・・や、だ・・・」

あぁ、こんな顔してたんだ。
こうやって鳴いてたんだ。
なんて可愛い。こんな顔してヤられてたんだ。

「やまざ・・・も、イく・・・」

そう言ってきたので俺は手を離した。

「・・・?」

急に止めた俺を不思議そうに見つめ、次に俺のしている行動を見て目が見開かれていた。

「おま・・・何する気・・・」

俺はズボンも下着も脱いで副長の両脚を上に上げ開かせた。

「お、おい!」
「俺のことは局長だと思ってください」
「・・・は?」
「分かってますよ、俺は」

副長が局長のことを好きなことぐらい。

「何言って・・・」

言い終わる前に俺は副長の穴に俺のを突っ込んだ。

「あっ・・・!!!」
「トシ・・・」
「っ・・!!」

局長ならこう言うかな・・・とか思いながら。
俺は一心不乱に腰を振り続ける。

「・・・・さん・・・・こんどう・・・さん」
「!!」

副長は目を瞑り両腕を俺の背中にまわし名前を呼び続ける。
俺の名前ではなく、局長の名前を。
分かってる。分かってるよ。自分がそう望んだんじゃないか。
けど、心臓が何回も刀で刺されたようにズキズキと痛む。苦しい。

「もっと、たりない・・・はげしく・・して・・・」

いつもは薬が切れ掛かっている時に会っていたけど、今回は薬が一番効いている時。
副長は俺に沢山要求して、俺はそれに応えた。
近藤さん近藤さんと呼ばれ続けながら。
そして、副長が気絶するまで、何度も何度もイかせた。







「山崎・・・」

次の日俺は副長に声をかけられた。

「昨日のことだが・・・」
「昨日のこと?」
「昨日の夜のことだよ・・・!」

少し顔を火照らせながら言う副長に俺は首を傾げた。

「なんのことですか?俺は昨日監視の仕事してたんで屯所にはいなかったんですが・・・」
「え・・・?そんなはずは・・・」
「俺の夢でも見ました?」
「ば・・・!ちげぇよ!もういい!」

そう言って副長は去っていった。

ごめんなさい。
俺は、最低な男です。
昨日のことから逃げて、
しかもまたあんなことがあったらいいなって思ってる。

そして、

今日もまた、

俺は、


やってはいけない本当に最低なことをしてしまう。













「副長、お茶、飲みますか?」












END
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あとがき

急に山土を書きたくなった突発文でした。


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