「山崎いいいいい!!!!」
―あぁ。殺される。
気が付けば俺は庭でひっくり返っていた。
殴られて気絶してしまったのだろう。
頬がヒリヒリする。
右頬を押さえながら俺はゆっくりと立ち上がった。
「あ、起きた」
縁側で座りながら煙草を吸い此方を向いている俺を気絶させた張本人。
やっとかと言いながらゆっくりと煙草を吸い、そして吐く。
「おい、マヨネーズ買ってこい」
―いや、それはないでしょ。
俺、貴方に気絶させられて今気が付いたんですよ?
っていうか俺が気絶してる間、待っている時間があるのなら自分が買いにいけば良いじゃないですか。
・・・なんて言える訳もなく。
でも、少し反抗したくなった俺は
「嫌、です・・・」
もの凄いことを口にしていた。
ハッとした俺は手で自分の口を覆うが、副長はピクっと体を揺らすと、きっと怒っているだろう顔を伏せながらこちらに向かってくる。
やばい殴られる殺される・・・・!!
体を硬直させ目をギュッと瞑り体をビクビクとさせながら副長の一撃を待っていた。
が、
「・・・・・悪かったな」
「え・・・・?」
予想だにしなかった言葉。副長の手は俺の頭を軽くポンと叩くだけだった。
「ちょっと出てくる」
そう言って俺に背を向けて去ろうとする。
あれ、なんか違う、殴られると思ったのに。
混乱する俺はさらに言葉を叫ぶ。
「あの・・・!俺一人じゃなくて、一緒に行きたい・・・です・・・・!」
副長に命令されるのは嫌いじゃない。けど、たまには俺の我侭も聞いて欲しい。
だって、副長が、大好きだから。
「・・・・別に・・・良いけど」
こちらを振り向くことなくそう言った副長。
まさか一緒に行ってくれるなんて思わなかったから興奮してしまう。
俺はすぐさま副長の下へ駆け寄りお礼を言った。
「有難う御座います!!・・・?」
副長の顔を覗くと顔どころか耳まで真っ赤に染めていた。
一緒に行きたいって言ったから嬉しかったのだろうか。恥ずかしがっている副長が愛おしく思えて仕方が無い。
「副長、顔赤いですよ?」
「んなことねぇよ!!!おら行くぞ!行かないなら先行くからな!!」
「あ、待ってくださーい」
ちょっと意地悪して何も知らない振りしたら可愛い反応が返ってくる。
いつもは殴られてばっかりだけど、副長の隣りを歩きながらたまにはこんな日も良いなと思いました。作文。
-------------------------------------
あとがき。
これを読んでほのぼのしてくだされば嬉しいです^^*