高杉とはセフレ関係をやめ、
銀八に全てを告白した。

そして、最後の問題。

沖田総悟。



「土方さん、今日もあの教室に放課後来てくだせぇ」
「・・・・分かった」


耳元で小さな声で言う沖田に土方は頷いた。
まさか、こんな関係になってしまうとは思ってもみなかった。
きっと沖田も同じように思っているに違いない。
1年の時からいつも近藤、土方、沖田の三人で行動していた。
性格はばらばらで、一見まとまりがないように見えるが、三人にとっては居心地の良い居場所だった。
いつからこうなってしまったのか。土方は過去を振り返る。
そう思うとやはり高1の終わりから変わってしまった自分が原因なんだと感じる。
沖田を変えてしまったのも自分だと、そう強く思う。





「・・・・・え?」
「・・だから、総悟の言うことはきけない」

放課後の空き教室、少しの距離を置き二人向き合う。
そして沖田は土方の言葉が信じられないというような表情で目を泳がせていた。

「じゃぁ、銀八に写真を見せてもいいんですね?」
「・・・好きにすればいい」
「っ!」

本当は嫌に決まっている。
銀八との壁が無くなったとはいえ、高杉とヤっているところの写真なんて見て欲しくはない。

『総悟の命令には従えない』

そう話した時、土方は沖田の驚いた表情が意外だった。
前に写真を見せられた時、銀八とのセックス中の写真が撮られていた。
それは自分達の家での行為だった為、きっと監視カメラや盗聴器が付けられていたのではないかと思っていた。いや、確実に付けられていただろう。
だから昨日の晩の銀八とのやりとりを盗聴器か何かで聞いていたと思っていたのだが、それはどうやら違ったらしい。
沖田の表情にその答えが出ている。

「じ、じゃぁこの写真を学校に張り出しまさぁ!」
「総悟・・・・」
「そしたらあんただけじゃなく銀八にも迷惑かけますぜ?それでもい―」

土方は堪えられなくなり沖田を抱きしめる。

「ごめんな・・・ごめん・・・」
「な、なんで謝るんで・・・?」
「ごめん・・・」

土方は何度も何度も謝る。自分の所為で沖田を変えてしまったこと、沖田の気持ちに気付けなかったこと。
いつの間にか土方の目には涙が浮かび零れ落ちる。

「謝ったって無駄でさぁ。謝るなら今から俺の命令に―」
「ばらまくならばらまけばいい。俺はそれで退学になっても仕方が無いと思ってる。・・銀八には全てを話した。高杉とも関係をやめた」
「!!」

沈黙。

そして数分後、ひっくひっくとすすり泣くような声が聞こえる。
その声の主は、沖田だった。

「・・・ちがう・・・こんなことをしたいんじゃない・・・違う・・・俺は・・・土方さんを、土方さんを愛してるんでさぁ!!!!」

うああっと大きな声で泣き出す。
そんな沖田を優しく包み込むように抱き、頭を撫でる。

「どこにも行かないでくだせぇ・・・離れたくない・・・」

ぎゅうっと力いっぱい土方を抱きしめる。

「ありがとう。総悟の気持ちは嬉しいし、言葉はちゃんと受け止める」
「えっ・・」
「・・けど、受け止めることは出来ても、それに応えることは出来ない」
「・・・」
「そのかわり俺は総悟から離れたりなんてしねぇ。大事な存在なのは変わりないから」
「っ・・!」

好きで、好きで、好き過ぎて、自分でもどうしたらいいか分からなくなって、いつの間にか土方を悲しませるようなことしか出来なくなっていた。
いけないと分かっていて、それでももう正しい道がどれなのかも分からなく迷路に迷い込んだ沖田は間違った行動する。

まるで自分を見ているようだと土方は思った。
こんなことはしてはいけないと思いつつも自分の欲望だけしか見れなくなってしまう。

土方は沖田が泣き止むまでそばにいた。
銀八が自分が泣き止むまでそばにいてくれたように。





***


「おーい、学校遅刻するぞー」
「うーん・・・あと5分・・」
「・・・そんなこと言ってると襲っちゃうぞー」

それを聞いた土方は身の危険を感じ飛び起きる。

「・・・何?そんなに嫌なの?」
「いや・・・これ以上はもう無理・・・」

昨日の夜愛を育んだ二人。
土方の体力は完全には回復していない。
しょぼんとしている銀八を見て土方は微笑み、そして銀八の顔に自分の顔を近付けるとそのまま頬に口付けする。

「・・・ほら、銀八だって遅刻するぞ」
「・・・・・」
「銀八・・・?」
「はああああああんん」
「!?!?」

目を感動でうるうるさせ、意味不明な言葉を発する銀八に驚く。
驚きのあまり硬直していると、そのまま抱きつかれ、飛びついた勢いでベットに押し倒される。

「もう、十四郎ったら可愛いいいい!!十四郎大好き〜〜」
「やめっ・・!ハズいっ!やめろ!離せ!」
「やだやだ〜」
「お前が遅れるとか言ってたんだろうが!!」


いつもの朝。
土方は毎日充実した日常を送っていた。




「おはようトシ!」
「おはよーございます土方さん」
「おう、おはよう」

教室へ入ると、近藤と沖田が出迎える。
沖田との一件は、何事もなかったかのようだった。
近藤が何かを言って、それを土方がフォローし、沖田は土方にちょっかいを出し、それを近藤が笑いながら止める。
そんないつもの三人。

「よォ」
「お、高杉。おはよう」

土方の後ろから声をかけられ振り向くと、そこには高杉の姿が。
高杉は数日前から教室に現われるようになった。
ときどき二人は屋上へ行き、たわいもない話をしながら煙草を吸う。

そんな、昔とは少し変わった日常。

全ては一件落着・・ということだろうか。

・・・・いや、そうではない。

銀八が他の生徒と話をしていて嫉妬する土方。
土方が近藤達と話をしていて嫉妬する銀八。
銀八と土方が仲良くしているのを見て嫉妬する高杉と沖田。

火花は今でも散っている。

しかし恋をするということは、幸せなことだけではないのが当たり前だ。
泣いて笑って、そして幸せを掴みとることが恋することなのだと。

新しく迷路のスタートに立った4人。
けれど、昔みたいにゴールできるか不安で仕方なくて、恐怖をもたらした迷路とは違い、
いつゴールできるのかワクワクしながら、ゴールを目指す、そんな楽しい迷路へと変わった。

皆、どうすれば独占できるか考えていたりだとか

「と、トシ・・・」
「ん?なんだ?」
「俺、トシのことが好きなのかもしんない・・・」
「・・・え?」
「「「はああああ!?!?!?」」」


―恋の大波乱の予感とか。

まだまだ迷路のゴールは見えそうにない。











END
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あとがき。

3Zは書いてて楽しい。
ぐだぐだになった気がしますが最後までかけてほっとしました!
青春っていいな!(笑)
最後におまけ

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