いつもそばで
永久よりも長くあなたと共に…
(夜リクオ×氷麗)全1ページ




風呂上がり、雪女は自分の部屋へと廊下を歩いていた。

今日は風があって、頬に当たるそれが心地良い。

足を止めて、庭の桜を見る。
漆黒の闇と薄桃色の美しい桜のコントラスト。
薄桃色の花は闇夜によく映えている。
ふわりふわりと、小さな花びらが舞う。
その様子はまるで…


「あの桜はまるで…」

「まるで、なんだ?」

「!?はうっ!?」

桜の木には誰の影もなかった。
しかし、ぬらりと、その空気さえ微動だにしないように、ごくごく自然に彼は木の枝に座っていたのだ。

つららの反応にやわらかい笑みを見せるリクオ。
その姿は夜のものだった。

「若…」

「よぉ、つらら」

「はっ、はいっ!」

「まるで…、何と言おうとしたんだ?」

「あ…。えっとですね…。」

先ほどのことで上がったばかりの体温は更に上がり、鼓動も加速する。


「若に…、まるであの桜は若のようだな、と。」

「そうか。………なら」


ふわり、花びらが舞う。

つららの耳を掠めた、彼女のいつもの体温からすれば熱い吐息が、彼女をどきりとさせる。


「わ、若っ…!」


闇夜に紡がれた言の葉は、果たして―――…


『なら、お前は春の月だ。いつもそばで俺を優しく照らす…。なぁ、つらら、これからもそばにいてくれよ。』



「はいっ!いつもお側で若をお守り致します!!」





闇に包まれた桜を春の淡い月が優しく照らしていた。



END.

* * * * *

初!リクつら!
なぜか、つららのキャラソンの「いつもそばで」の
フレーズに繋がってしまった。←




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