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「古市…お前に宣言したい事がある…。」
「な、なんだよ…?」
「俺は俺は…
絶対アイツの秘密を暴いてやる!!」
俺の前だけでは「いきなり何言いだすかと思ったら…なに?アイツってもしかして…」
「おう。ヒルダだ。「でこぴ〜〜んッッ!!」
「ってぇぇえ!!何すんだ古市!!」
「おいこら男鹿!!お前自分が仕えているお嬢様を呼び捨てにするな!ヒルダお嬢様、若しくはヒルダ様と呼べ!」
「へ〜へ〜…。」
「ったく…。忠誠心のかけらもないな。こんな執事初めて見た。だいたいなんでここに来たのさ。」
そう、俺は執事。
2、3日前にここ、名家悪魔野家の一人娘、ヒルダに仕える事になった。
ことのなりゆきは、
「フン、こんなもんか。」
いつものように絡んできた輩を善良な市民である俺、男鹿辰巳様は成敗してやっていた。実にいい仕事であったと思う。これでまた治安も維持されるだろう。
「さてと〜…。帰ってラスボス倒すとするか。」
「お待ちくだされ!!」
「…ん?誰、お前。」
「全て見させてもらった。貴殿はなかなかの腕前とお見受けする。貴殿の腕をを見込んでぜひとも頼みたいことがあるのだ。」
「頼みたい…こと?」
「善良な美しい心を持つだけでなく、腕も立ち、さらに根性もある…。何よりその目…気に入った…!貴殿にしか頼めない事だ…!!」
***
「…というわけだ。」
「ようするに…のせられちゃったわけね。」
「なんでだよ?」
「善良な市民って…お前がか?」
「まぁ、そんなこんなで俺はヒルダに仕えることになったんだが…」
「無視か!」
「…ヒルダが一言も口をきいてくれないんだよ。」
「あぁ…確かにお嬢様無口だからなぁ…。俺もヒルダ様の声を聞いたのは数えるくらいだよ。」
ま、そういうとこも可愛いんだけど、とにやける古市に冷めた視線を送る。
「何ちゃっかりヒルダの声聞いてんだよ。」
「いや、俺お前よりずっと前からここに居るからさ。数回ぐらいは聞いたことあるよ?」
「チッ…古市のくせに。」
「舌打ちすんな!でもって俺先輩だからね!」
「わめくなウルサイ。それだけじゃねぇんだよ…」
いつも
いつも窓の外を見ているんだ。
泣きそうな顔をして…