七
そっと唇に何かが触れた気がした…。
ねぇ…
少しだけ…期待してもいいのかな?
リクオ様ー…
そっと目を開ける。
「あ……れ…………?」
毒林檎を食べて…
えぇと……
どうやら私…
助かったみたい…?
唇に感じた温かな熱をそっとなぞる。
一体…だれが………?
「よぉ、雪女…。」
目の前には陰陽師。
「なっ…!?」
え…
え!?
まさか…!!??
ぱちぱちと瞬きを繰り返すけれど、変わらずいるのは陰陽師で。
かぁぁぁ…
顔に熱が集中する。
「あっ…アンタ……まさかっ…!!?」
抗議の声を上げようと、陰陽師を見上げるけれど、陰陽師は先ほどまで目を逸らしてたくせに、今度はまっすぐこちらを見つめていて…どうしたらいいか分からなくなった。
しかもよく見れば陰陽師に抱き抱えられているし…!
何これ何これ!
というか一体何が!?
慌てる私とは対照的に、意地の悪い笑顔で見つめてくる陰陽師。
顔がだんだんと近付いてきて…
近い!近い!!
一体私はどうなってしまうの〜〜!?
ふわり、耳元に囁かれた低音は…
「俺のキスじゃご不満ですか?」
強気で意地悪な悪魔の囁きだった。
「なっ……!!?」
「ふっ…冗談だ。」
「ま、また冗談!?」
「まぁ、落ち着け。この物語から脱出するためにはたぶん物語を完結する必要がある。さっさと終わらせるぞ。」
「えっ…!?あんたもここに吸い込まれたの!?」
「……………まぁな。」
「ふうん………。」
「白雪姫〜〜」
周りを見れば、よかったよかったと泣いている小人さんたち。
「みんな…心配掛けてごめんなさい…。」
「白雪姫、白雪姫、」
「冷麗……?」
「ちょっとこっち…」
促されるまま、冷麗に近付く。
「王子様、今はあんな感じだけど…あなたを抱き抱えたまま、ずっとうろたえていたのよ?それにね、こいつは俺のもんだって宣言したんだから!」
「えっ」
「馬鹿っ!おい!」
陰陽師は血相を変えて冷麗の口を塞ぐ。
え………
顔が赤い…?
「ったく…!!雪女!物語完結させるぞ!」
「えっ!?次はどうなるんだったかしら!?」
「………こうするんだよ!!」
ふわり体が宙に浮いた。
いわゆるお姫様抱っこに赤くならずにはいられない。
「結婚………するぞ。」
「え……!?」
「返事は…?」
私は…私と同じくらい顔を赤くしている陰陽師にあっけにとられて、気付いたら返事をしていた。
「はいっ………」
私がそう答えると、眩い光が私たちを包んだ。
ハッピーエンド?