五
***
「…?…妙な妖気を感じる…。」
悪い気のようなそうでないような…特殊な…
でもかなり強い妖気なのは確かだ。
「そりゃぁ…妖怪の本家ともあれば、そんなん当たり前か。」
でも…
気になってしまうのは陰陽師の性で、俺はその妖気を辿って進んでいった。
「ここか…。」
見た感じは誰もいないようだな…。
「ん?」
部屋に無造作に置かれている絵本が目に入った。
「なんだぁ…これ…。……!!!」
これか!!
妖気を放っていたのは!!
表紙を軽く指先でなぞれば、確かに感じる強い妖気。
それに混じって、絵本から冷たい妖気も感じられた。まるで雪女の妖気のような…。
絵本の側には白いマフラー。
「!」
マフラー…?
これ、雪女がいつも巻いてるやつだよな…?
まさか…
「あんの馬鹿っ…!…………ったく、しょうがねぇ!!ほんと世話が焼ける妖怪だな…。」
俺は絵本のページを1枚めくった。
「あとで仕置きが必要だな…。」
ドSヒーロー参上!