▼ 運命の日
*ヨナ side*
今日で私は、いや正確には私と姉上は十六歳になる。
姉上はサラ叔母上が娘と言って連れてきた庶子という扱いだから、正式に祝われる訳ではないけど。
…………追いかけられたあの日。私は勢いでスウォンに告白した。
スウォンが私のこと、妹としか思っていないことも分かっていた。
…………他に好きな人がいることも。
スウォンの好きな相手は多分……ううん、絶対に姉上だわ。
私に向ける目と、姉上に向ける目はいつだって少しだけ違ったもの。
好きだからこそ、わかってしまったこと。
それでもスウォンを思う気持ちは止められなくて、ずっと片想いしていたのだけど。
でも、姉上に対しては僻みとか嫉妬なんて感情は浮かばなかった。
だって私は姉上のことも大好きだもの。
面倒くさがりなのに何だかんだで私のわがままに付き合ってくれるところも。
普段無表情な口許に少しだけ笑みをのせて頭を撫でてくれるところも。
私よりも小さいのに、どうしてか、一緒にいてとても安心する存在。
例え庶子でも、サラ叔母上の子供でなかったとしても、姉上は私の姉上なんだから。
「……あ、ヨナ。 おはよう。あと、誕生日……おめでと」
たまたま会った姉上はそう言いながらそっと微笑んで優しく頭を撫でる。
「ありがとう姉上。姉上も誕生日おめでとう!」
「……ん。じゃあ、ヨナは、あのめんどい式典、がんば」
「姉上は出なくていいからって、ずるい!」
「いえーい」
あ、あと……姉上じゃない。
無表情に自慢げにされたあと、お決まりの定型文を返され、口許が自然と緩む。
姉上ってばほんと、変なところで律儀というか頑固なんだから。
そんな風に笑っていると、ガウッと足元から鳴き声が聞こえた。
姉上以外は映さない、怖いほどに冷たい目。
「? ……あ、そうだった。ヨナ、そろそろ準備しにいかないと、遅れる。……って、いいに来たんだった……」
「え? あ、いけない! それじゃあまた後でね、姉上!!」
姉上は好きだけど、姉上が連れているあの狼は……ちょっと苦手。
†あとがき†
うん、何が書きたかったのか不明だけども、とりあえずヨナsideでした!
運命が変わる誕生日の朝のちょっとした会話を入れたかったのと、ヨナのスウォンとレイに対する感情がメイン……のつもり。
…………今度黙って修正いれるかも、です。
さて、次はヨナの誕生日の式典の話になるかな。
うん、がんばろ。
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