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その後、緑の城の姫……カリンと言う名の少女にぼそぼそと言った声は聞き取れなかったが、それはどうでもよくなっていた。
今、人間界トンネルって言った?
「こんにちは。突然、ごめんなさい」
空から形式ばかりの箒に跨がって、緑の城の庭に降り立つ。
「えっ、あ、こ、こんにちは……」
「うっわぁ、カリンに並ぶ美少女だ」
「おい、アホ面してんなよ。……あー、えっと、君は誰? 緑の城に何か用?」
三人思い思いの言葉を返される。中でもチトセという少年の警戒した態度が一番反応として正しいんだろうけど。
「驚かせてごめんなさい。私はヒナタ。ここの女王様の許可は得ているんだけど……」
「あ、ママのお客さま、ですか? いま、ママ出掛けてて……」
「そっか……ついでに挨拶しとこうと思ったんだけど」
そう呟いた後、カリンが何かを思い出したかのように顔をあげた。
「ヒナタ……この前、ママが言ってた、今度学校に編入してくる人って、」
「あぁ、たぶん私のことだと思うよ」
「そう言えば親父もそんなこと言ってたな」
「あ! あたしもあたしも! ママから聞いたよ〜」
「なら、話は早いかな。改めて、レイ……あ、いや銀の城の女王様と緑の城の女王様の友人……の、娘のヒナタです。青の城の王様やグラウディおじい、(コホンッ グラウディさまとも知り合いって聞いてたかな」
う、嘘は付いてない。レイア達は両親とも友人だったって話は聞いてたし。ただ個人でも付き合いがあって仲がいいだけで。
青の城のお二方もしかり。
「そうなんだ。しかし、親がエリニュエス大陸の王達やじじいとも知り合いって、どこの国の姫だよ……」
空の国です! とは言えない。しかも、王様わたし。
空の国の存在を知っているのは元老院と各国の王のみ。
其れ以外に他言してはならないと盟約で誓われている。
まぁ、もっとも空の国の王である私が口外する分には、問題ないんだけどね。
「それより、さっき人間界トンネルとかって言ってなかった? 探しに行くの?」
「ギクッ え、あ、ああ! 人間界トンネルね。まぁ、うんその、行かないこともないかな〜なんて」
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