Killing time | ナノ
18705

 コスプレ

朝起きると、そこには上機嫌な臨也さんがいました。


「うん……………………なんで?」


「あぁおはよう、渚ちゃん。随分とよく眠れたみたいだね。昨日のこと、覚えてないかい?」


昨日……。

(あぁそうだ、私。自殺オフに参加して……)


何故か、折原臨也の家に居候することになったんだった。


「あー……思い、出しました。……ところで。それ、何ですか。臨也さん」

「なにって、見ての通りの制服だけど」


ベッドサイドに置かれた真新しい服。
それを指して問えば、予想通りの回答が帰ってきた。
何というか、先の展開が手に取るように読めてくる。

「……まさか、折原臨也さんが女装とコスプレの趣味をお持ちだったとは知りませんでした! なんていうかちょっとびっくりです。 あぁ、ご安心を。別に偏見とかは無いし、面白がって言いふらしたりなんか……多分、しませんから!」

その展開通りに進めるのもちょっとつまらないので満面の笑みを浮かべて、おちょくってみた。
なんでS属性な方で遊ぶと、こんなに愉しいのかな? ←

「……勝手に俺の趣味って事にしないでくれる。これは君のだよ」

知ってる。
竜ヶ峰帝くんや黄田正臣くんの所に自分が把握しやすいの駒を配置したいんでしょ?

と、頭の隅で考える。
彼の考えそうな事だ。
まぁ、もっとも。

(……貴方の駒になった覚えも、貴方に操られる気もありませんけどね)

「ふーん……じゃあ、変態だったんですね。明らかに年下な女子にコスプレさせるって……流石にそっちは偏見、というか実害あるし距離置きたくなりますね」

「幾ら温厚で人間を愛してる俺だって、そろそろ怒るよ? それに一応は、俺が家主で君の保護者の立場になるってこと忘れないでよ」

……温厚? 誰のことですか?

「……温厚?」

あ、声に出てた。

「ま、いいや。とりあえず言いたい事とさせたいことは大体把握しました。その制服きて、学校行けって事ですよね?」


「そうだね。外見から判断して君も高校生だろう? どの学校にも通っていた形跡はないし、行ってみたいんじゃないかと気を利かせてやったのさ」

きっと彼は私のことを監禁、あるいは軟禁状態であったと想定して、言っているのだろうけど。


ごめん、全くの見当違いです。

とは、言い出せませんでした。




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