捨てる神あらば、拾う神あり。 | ナノ
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 後悔しました

高淤加美神からはあの失敗しまくりな自己紹介の流れで何故か最終的には高淤と呼ぶことを許されました。

うん、なんでだろう……?

分からないけど、不興を買ってはいなかったようで、少しだけ安心した。

その後、数言、言葉を交わして屈指の神の威圧感を耐え抜いたわたしは、彼の神が座していた場所に、深い礼をしてその場をあとにした。

少し離れた場所で、詰めていた息を一気に吐きだし、気が抜けた事による脱力感で座り込みたい気持ちを、すんでで耐え……ようとして、耐えきれずふらついて座り込んでしまう。

気力的に立つことを諦めて、木に持たれかかりながら、最愛の者達の名を呟くようにして呼んだ。


「…………綺羅、翡翠」

さっと空気が揺れ姿を表した二人は一瞬目を見開き、次の行動はそれぞれだった。

「毅邵、姫様は容態どうなの……!? あの龍になにかされ……」
「落ち着け。ただの疲労だ」

夕陽を、自力で立てないと踏んで、横抱きに抱えあげた綺羅に、翡翠は暴走気味に詰め寄る。

やや罰当たりな事を呟きかけた彼女を冷静に止めてくれた綺羅には感謝だ。


「あばら屋まで距離がある。このまま向かうぞ」
「うん……おねがい」

正直、こんなに消耗するとは思わなかった。
精神力が弱っていたからか無意識に高淤神の神気にあてられていたのだろうとは思う。

神の位にあるもの同士が会うのは互いに気不味い……というか、なんというか微妙ではないかと思って綺羅たちを置いてきたけれど……

こんなことならば、二人を連れていけば良かった。

「次からは俺達も連れていけ。無駄な気を使うな」
「そうですよ、姫様? 私たちにもあの者にも気を遣う必要ありませんから」

今さらの後悔の念を抱く夕陽に、一人はぶっきらぼうに、一人は優しく微笑んでそう告げる。


「…………ありがとう二人とも、次からはそうするね」



暖かいな、と胸をじんわりと焦がす熱に頬を緩めた。





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