気がついたときにはもう周りには何もなくて

ふと足元に魔物の頭が転がっていた

思わず後退りをするが、恐怖で足がすくんでその場に転んでしまった



〈忌の子よ、苦しむがいい〉

『なに……、もう、やめてよ』



言葉を残して灰となり消えた魔物

最後の声が、残された言葉が頭から離れない

虚ろな目のままふらりふらりと辺りを彷徨った



特にいい思い出もない、冷たい視線の中祖母だけが私を愛してくれた



『私のせい?返して、神様』



大嫌いな神様に、一度だって願ったことなんてなかった

だけど今だけは返して欲しい

暖かなあの笑みを、優しく包み込んでくれるぬくもりを



『返してよ!』



何もかもなくなってしまった世界に私の声が大きく響いた

何も見たくないと固く瞑った目から溜まっていた涙が溢れた

頬を伝って行く涙は次から次えととめどなく溢れた

地に落ちた時だった



緑の草が生え、次第に広がっていく

目を閉じている私はそれに気づかずにただただ泣いていた



『う、うっ、かえっ、かえしてよっ、かえしてよ……』




「深雪」



後ろから望んだ声と、その腕が私を優しく抱きしめた

ずっと聞きたくて、大丈夫だと言ってほしい

そう願った声が聞こえた



『おば、ちゃ』



そのまま眠るように気を失って、気づけば朝日が昇っていた



「いいかい深雪、力を扱えるようになるんだ」



私が目覚めたその日から祖母は私の力が暴走しないようにと力をつけるよう特訓をしてくれた

このまま力の制御か聞かなくて、私の体に影響が出ないようにと祖母なりの優しさだったのだ

毎日のように特訓を繰り返し力を上手く扱えるようになったのは10年後だった

そして再び私の人生を変える悪夢が起こったのだ


  



[ 20/22 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -