過去2



真夜中、不意に目が覚めて怖くなったので

祖母にギュッと近寄った



「怖い夢でも見たのかい?」



ただ首を振って抱きつく腕の力を強める

優しく安心させるような手つきで頭を撫ぜられても

やっぱり怖いのだ

何がとなると分らない、そんな恐怖



「……深雪こっちにおいで」

『どうしたのおばあちゃん、一人にしないで!』



物入れと化している部屋に放り込まれ

何が何だか分からず祖母を見た



「いい、絶対ここから出てはだめよ」

『おばあちゃんは?』

「直ぐに戻って来るわ」



そう言って扉を閉めて出て行った祖母

しばらくすれば外はとても騒がしくて

悲鳴も聞こえて

人とは思えない声も響いて

私の体はがたがたと震えていた



『おばあちゃんっ!』



祖母の声が聞こえた

いつもの優しい声じゃなくて

もっと恐ろしくて、とても怖かった

それでも大事な祖母に何かあろうことならたまったものじゃないと思い

思わず物入れから飛び出して家の外に出た



『何・・・・・・これ・・・・・・』



細々と、それでも人々が暮らしていた小さな村

今は人が住んでいるなんて思えないほどの荒れようで

ほとんどの人が地に倒れ伏していた



「深雪!!だめよ!」

『おば、ちゃ・・・・・・』



祖母が私に気づいて振り向いた瞬間だった

肉が切り裂かれたような音が聞こえた



「深雪……にげ、な、さ……」

『やっ、いやああああああっ』



ブワリと地面から巻き上がるような風が起こり

周りにいた魔物たちは次々に倒れてゆく



時が進んだかのように周りも風化し

草木は枯れ果てて、建物の劣化も激しくなった

気がついたときにはついさっきまで人が住んでいたとは思えない町となっていた






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