笑顔




コンコンコン



ノックをしたものの返事はなかった



『どうしよう……?』



入ってもいいのかな

いや、でも何かお取り込み中的なものが……

悶々と一人考えていたが

やはり帰ってきたぐらいの報告はいるだろう



『し、失礼します……あ、』



恐る恐る部屋し入れば

机に突っ伏したまま寝ている綱吉さんがいた

突っ伏しているその下には数枚の書類



こんな時間まで仕事してるんだ……



『綱吉さん、起きて下さい  寝るならベッドに寝て下さい』

「んん……あれ、深雪?」



流石に体勢が悪いだろうと思い起こせば

眠そうに掠れた声で首をかしげている



『ついさっき帰りました、明かりが点いていたので……』

「そっか、ごめんね ありがとう」



体を起して机の上の書類をファイルにしまう綱吉さん

お疲れ様、そう言って何も聞かずに頭を撫ぜてくれた

優しい手つきに思わず目を細めれば

猫みたいだね

なんて笑っていた



『いつもこんな時間までお仕事を?』

「いや、今日はなんだか眠れなかったんだけど気付いたら寝ちゃってたや」

『そうだったんですか、では私もこれで失礼します』



お互いに分れて自室へと戻っていく

明日も仕事に追われるであろう綱吉さんの姿を思い思わず笑みを浮かべた

綱吉さんといれば私も笑顔でいられると思った

元の世界で笑っていなかったのかと言われればそうではないのだけれど

最初は怖い人かも、なんて思ったけど本当はとても優しい人だった

私も頑張ろう、そう思わせてくれる

そんな人



『よしっ、明日も頑張ろう!』



部屋の中で一人ガッツポーズをとる

ベッドに入れば柔らかな感触が心地よくて

あっという間に夢の中に入ってしまった

  

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