帰還



帰り道、酔ってしまったようなフワフワした感覚を体中に感じていた

浮ついた足元と、どこかゆったりと流れている時間

どうしたものか、さっきまで剣を振っていたとは思えなかった



『何がどうなってるのかな……?』

「力があり余っているのですよ」

『へ?』



またも突然現れたピエロは困ったように笑っていた

自分ではよく分らないこの感覚

確かにあの時物足りなさは感じたけれどまさかあり余っているなんて思わない



「深雪はもともと力が強いですから、私のもプラスした分余計に余るんですよ」

『そうなんだ……』



疲れ知らずはありがたいけれどもどうにも複雑だ

本当に自分はおかしな人間だ

そもそも綱吉さん達は私をちゃんと人間だと思っているのかな?

いつまでも綱吉さんと二人だけの秘密には出来ないだろうし……



『……はぁ』

「気に病まずにいましょう、未来なんてなんとでもなります」

『信憑性なさすぎ』



ピエロの笑顔でそんなことを言われても何とも思わない

というか思えない

相変わらずのその顔がいつもどうしても殴りたくなる



『殴っても?』

「ワタクシの扱いいつも雑ですよね」



その顔がピエロじゃなかったら殴らない、たぶん

何かがむかつく

勝手だけどね



なんだかんだでボンゴレ邸まで帰ってきて

ふと見やれば一室、明かりが点いている



『書斎だ』



綱吉さんがまだ起きているということだろうか

まだ仕事してるのかな

そんなことを思いながらただいまの報告をしようと思って書斎へと向かった





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