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- ナノ -

泣き出した陸くんを姉鷺先生に預けて、わたしは天くんを探しに来たんだけど。
教室をでてすぐに紡先生がいた。


「天くんならあそこです」


そう言って彼女が指さしたのは園庭にあるトンネル型の遊具だった。
なるほど、あの中に隠れたか。小さいっていいな。

そーっと近寄ってそーっと中をのぞくと、天くんが膝を抱えてちょこんと座っていた。


「てーんくん」


トンネルの外で声をかける。わたしの声に天くんはびくっと肩を上下させた。


「なに」


顔を見せたくないのかこっちを向いてくれない。声も若干かすれていた。


「先生、天くんのお歌が聞きたいな」


そう、天くんは歌がとっても上手なの!
さすが未来のアイドルだね。
みんなで歌をうたうときも、天くんの声はちゃんと先生に聞こえてるんだよ。


「もう歌ってくれないの?」


反応がないので心配になって、トンネルに入ろうとすると、


「だって」


天くんが小さくなにかつぶやいた。


「ん?」
「名前せんせい、りくのはなし、きいてた?」


おそるおそるといった感じでそう聞かれる。とくべつ、のことかな。


「え? なんのこと?」


聞いてたけど詳しいことはよくわからないので聞かなかったことにしておく。


「ボクのファンになるって、ほんとだよね」


もちろん!
天くんがアイドルになったら、きっとわたしなんてちっぽけなファンの一人になってしまうんだろうけど。


「ほんとだよ! 絶対ファンになる! あ、いまのうちにサインもらっとかないとね!」


わたしの言葉に、天くんが目元を拭ってやっとこちらを見てくれた。


「りく、ないてるでしょ。ごめんなさいしてくる」


トンネルからでてきた天くんは、やっぱり優しい子だった。ほんとに天使だ。