「てんにぃがアイドルになるならオレもやりたい!」
そこへ陸くんがやってきた。
陸くんと天くんはよく似てるから、二人そろうと一瞬でそこは天国になる。
「陸くんもアイドルになるの? わあ、先生楽しみだなあ」
二人ならきっとキラキラのアイドルになれるだろうな〜、楽しみだな〜と思いながら想像していると、
「……りくは、だめ」
天くんが急にうつむいてしまった。あれ、さっきまで元気だったのに。
「へ?なんで?」
陸くんも不思議そうに天くんを見ている。
二人はいつも仲がいいからてっきり、二人でアイドルになろう!って話し出すのかと思ったんだけど。
「名前せんせいのアイドルはボクだけだから」
え? うん、天くんはわたしのアイドルだよ?
「二人とも先生の大切なアイドルだよ!」
まあ、どっちかを選ぶことなんて、わたしにはできない。
でも天くんはやっぱり元気がなくて、かわりに陸くんは嬉しそうだった。
「あ、てんにぃ名前せんせいの“とくべつ”になりたいんだろ〜」
急に陸くんがひらめいた!という感じでそう口にする。
とくべつ?
「ちがう!!」
すると、天くんが顔を真っ赤にして大きな声でそう言った。
かと思うと、すごい勢いで教室を飛び出していった。
ええ!? 天くんが声を荒げるなんて珍しいことで驚く。
「うぅ、てんにぃがおこった」
陸くんがびっくりして泣き出す。
飛び出していった天くんのことも気になるし、泣き出した陸くんのことも心配だ。
「あ〜、よしよし。大丈夫だよ〜」
とりあえず陸くんを抱っこして背中をさする。天くんを探しに行かなきゃ!
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