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- ナノ -

メロディ組にて

「名前せんせい」

みんながお絵かきしているのを見ていると、後ろからくいくいっとエプロンを引っ張られた。

「どうしたの、天くん!」

慌てて振り向くと天くんがわたしのエプロンを握りしめてこちらを見上げている。
か、かわいい!

「これ、かけた」

天くんが渡してくれたのは白い画用紙。
今日はみんなで“おおきくなったらなりたいもの”を描いている。天くんの将来の夢はなんだろう?

「おお!」

屈んで紙を受け取ると、そこに描いてあったのは男の子が何かを持っている絵。たぶん、この男の子は天くんだよね。でも手に持ってるのはなんだろう? つくし?

「天くんが持ってるのは何?」
「まいくだよ」

素直に聞いてみると、嫌な顔もせずに教えてくれた。そうか、マイクか。つくしおしかったな。
すると、なぜかそわそわしながら天くんがわたしを見つめてきた。あ〜、ほんとに天くんは小さくてかわいいし妖精さんみたいだ。

「名前せんせい、ボクがアイドルになったらおうえんしてくれる?」

小さく首を傾げる姿にさらにきゅんっときた。わたしがデレデレしているせいで、メロディ組の外を通っていた紡先生が呆れた顔でわたしを見ていた。ごめんなさい。

「もちろんするよ! 天くんがアイドルか〜! 先生、ファン第一号になる!」

わたしがそう答えると、天くんはぱっと顔を上げた。

「ほんとに?」
「うん!」

大きく頷く。天くんはとっても嬉しいみたい。絵を大切そうに見ている。