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- ナノ -

親友のミケちゃんの家にて。


『みんなー! 今日は来てくれてありがとう!』
「うわあ……」


テレビの画面に映し出されたステージの上で、センターの男の子が声を張り上げている。
このセンターがあの天?
まったく信じられない。


「急にTRIGGERを見たいっていうから何かと思ったけど、もしかして名前もファンに?」
「いや、違う」


断じてそれはない。


「ほんとにアイドルなんだ……」


ミケちゃんが用意してくれたTRIGGERのライブのDVDを見ながら、ちょっと驚いた。

確かにステージの上の九条天くんはかっこいい、かもしれない。うちに来てるときの彼とはだいぶ印象が違うんだけど。

結局あの傘さして帰ったのかな。


「大丈夫?名前」
「へ?」


無言で画面を凝視していると、ミケちゃんが心配そうにわたしの顔をのぞきこんできた。


「疲れてるでしょ。顔色が悪いけど」
「ああ、いや、ちょっとね。精神的に追い詰められてて」


だれかさんのせいで急速に歳をとった気がする。だれとはいわないけど。


「なにかあったら相談してね。友達でしょ」
「ありがとう、ミケちゃん」


やっぱり持つべきは友だよ!
彼女に心配をかけないように、前向きにがんばらなきゃ!うん!


「TRIGGERが観たいならいつでもいって! DVDもあるし録画した番組もたくさんあるから!」
「あ、はい」


ミケちゃん、本気だなあ。

ここまで女の子を夢中にできるってすごい才能だと思う。わたしはアイドルに興味ないけど。


そういえばこの天の隣で歌ってる灰色の髪の人、どっかで見たことあるんだよな。だれだっけ。天以外にアイドルの知り合いなんていないはずなのにな。