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わたしは至って普通の大学生だ。一人暮らしで、講義がないときや休みの日にバイトを二つ掛け持ちしている。友達だってそれなりにいる。これといって特別なことはない。一般人だ。

だからテレビにでているようなアイドルに好かれるような存在じゃないのに。




「おいしい?」


目の前でドーナツを食べている天(帽子と眼鏡を装備済み)を見つめる。
お昼にこんな怪しい人物と一緒にドーナツ屋でドーナツを頬張っている自分が信じられない。


「名前は食べないの?」
「わたしはもう食べたよ」


天はいくつ食べる気なんだよ……


「このあとどこ行く?」


デートと言ったわりに、特に予定が決まっているわけでもなく、連れてこられたのはただのショッピングセンターだった。お昼だって天がドーナツにしようって言いだしたわけじゃない。急にあの有名なドーナツチェーン店の前で立ち止まるから、食べたいのかなと思ってわたしが誘っただけだ。


「行きたいところないの? そもそもなんでわたしとデートなの」
「もう一回“気持ち悪い”セリフが聞きたいってこと?」
「根に持ってるし」


でもお昼はわたしの奢りだからよくない?文句言う権利なくない?


「わたし、本屋さん行きたいな」
「いいよ」


天は特に迷うことなく頷いた。この男を連れて買い物するのってすごくリスクが高い気がするんだけど、まあいいか。アイドルを荷物持ちにできるなんてレアだよね!


「荷物は持たないから」


……こいつ。