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- ナノ -

部屋の真ん中にちょこんと座っている天。何も言わずに座っているだけなら、ほんとにかわいい顔をした天使みたいなのになあ、と思う。


「なんでこんなこと」


1K住みのわたしはキッチンの狭いスペースで服を着替えていた。
掛け持ちしているバイトも今日はお休み。
ゆっくり眠れるな〜って思ってたんだけど。


「はい、準備できたよ」


適当に選んだ服を着て部屋に入ると、天が勝手にお茶を飲んでいた。どこからだしたそれ。


「……じゃあ、行こっか」


しかも無反応!?
ちょっと!そこはかわいいねとか似合ってるとかなにか言うところでしょ。わざわざ着替えてあげたのに。


「どこ行くんだっけ?」
「デート」


天は「デート」という単語が相当気に入ってるらしい。
電話のときからそれしか言わない。


「わたしたち付き合ってないよね」
「そうだっけ?」
「わたしの記憶ではそんなに親しくなったつもりがないんですけど」


わたしがそう言うと、天は眉間にしわを寄せた。
いやだってさ、天と出会ってまだ一か月くらいなんだよ?
それから今に至るまで、そういう関係になった覚えがない。


「好きだよ、名前」
「ごめん、気持ち悪い」


もう何度か聞いたことのあるセリフに鳥肌が立った。ファンの女の子たちなら嬉しくて泣いてたんだろうけど、わたしはファンじゃないんで。


「お昼は名前の奢りね」


天使と悪魔の落差が激しいな。

とりあえずでかけるまで帰りそうにないので、仕方なく買い物に付き合ってあげることにした。