ほんとに来るとは思ってなかった……いや、天はほんとに来るやつだったね、ごめんね、わたしまだ準備できてないんだよね。
「ボク、十四時って言わなかった?」
「五時に起きたせいで二度寝したよね」
玄関先に不機嫌な感じで突っ立っている天。
対してわたしはパジャマ姿である。
女の子なのに、とか気にしている場合じゃない。
「わかった。用意ができるまで上がってもいい?」
「え? もう靴脱いでる気がするんですけどね? 天さん?」
綺麗に靴をそろえてる場合じゃないんですよ。お行儀がいいな。
「お茶とか淹れてくれないの?」
部屋に入るなりそんなことを言う。
「いや、お客さんだったら淹れてるけど」
呼んでもないのに無理やり来たんですよ、あなた。
「ボクもお客さんでしょ?」
「わたしにとっては地獄からの使者だよ……」
「なにかいった?」
「いえ、なにも」
さすがのわたしもなにも言い返せなかった。
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