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ふー……はー……
文字通り深い深い深呼吸をする。
何回?もうかれこれ10回以上。

わたしはいま、夢ノ咲学院の校門前にいる。まさかここにまた足を運ぶことになるなんて思っていなかった。

思い出してみたら、最後にここにきたのは桜が舞う春だった。気がついたらもう七月。

それにしても何回見ても大きな学校だ。特殊な学校なので仕方ないのかもしれないけど、やっぱり地味なわたしには似合わない。授業中だから生徒がいないことだけが救いだ。登校時間とずらしてよかった。

不登校のわたしがここに足を運んだ理由は、いたって簡単。
学校を辞めるためだった。



わたしは今年の春に夢ノ咲学院に転校してきた。

新設予定だというプロデュース科のテストケースという名の実験体みたいな、そんなものに選ばれ、よくわからないまま学校に来たのはいいけれど、臆病なわたしはまだ始まってもいない学校生活にこわくなって逃げ出した。

そのまま家に帰ってから今の今まで引きこもり生活を満喫し、このたび晴れて退学を決意した。


「学校辞めます」


という報告を電話でしたところ、先生からお呼び出しをくらい、嫌だとごねたら「一回顔をだすだけでいい」と念を押され、重い足を引きずってここまで来た。おそらく退学手続きが必要なのだろう。

詳しい用件はなにも伝えられてないんだけど、書類に印を押すぐらいなら仕方ない、行くまで辞められないなら行くしかないな……ということでここまで来た。転校してから三か月経ってるんだけど。

とりあえず敷地内に足を踏み入れる。
うっ……息苦しい。
学校嫌いにもほどがある。


わたしはプロデュース科の生徒だけど、アイドル科の校舎に向かう。授業はアイドル科で一緒に受けるとのこと。

だいたいプロデュース科ってなんだろう。
アイドルって?
そういうキラキラチャラチャラしたものには興味がない。

でもそんなこともうどうでもいいんだ。
今日で学校を辞めるんだから。