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走って外に飛び出す。そのまま真っ直ぐ校門に向かいたかったのに、


「わっ」


なぜか何もないところで足を引っかけて、盛大に転んだ。
……と思ったら、知らないうちに目の前の噴水に飛び込んでいた。


「…………」


何が起こっているのか理解が追い付かなくてしばらく固まったまま動けない。
なぜこんなところに噴水があるんだ。
ろくに前も見ずに走っていたわたしが悪いのだけど。


「う……」


だんだん状況が理解できてきて、それとともに恥ずかしさと不安で頭がいっぱいになる。冷たい。この分だと制服だけじゃなくて、下着まで濡れている。

立ち上がろうにも、そのあとのことを考えていないのでへたに動けない。

だってこの状況で立ち上がってどうするの。なにもなかったふりして帰ることなんてできない。全身びしょぬれだし。

こうしている間にも通りかかった生徒がこちらに視線を向ける。逆に目立たないほうがおかしい状況。


昔からいつも運が悪いんだ。運というより、生きるのがへたなのかもしれない。いつも必ず失敗するから。


「きょうは『せんきゃく』がいますね〜……♪」


そんなときに、すぐ近くで声が聞こえた。

何事かと思って振り返ると、見知らぬ人が立っていた。ふわ〜っと現れたかと思うと、当たり前のようにこちらに歩いてくる。


「よいしょ」


そのまま噴水に入ってきた。
え……?
なにこの人。噴水の中で座り込んでいるわたしが言うのもおかしな話だ。


「あの……」
「ぷか、ぷか♪ やっぱり『みずあび』はきもちいいですね……♪」


あまりにも予想外のことに思考が追い付かない。ただでさえわたしの思考回路はショート寸前なのに。

すると、彼はなにかを見つけて『それ』を拾い上げた。


「なにかおよいでます……『これ』はなんですか〜?」
「……!?」


『それ』を見て、わたしはさらに驚いた。

彼が手にしているのは、わたしの見間違いでなければ、退学レポートだった。