はじめは変な子だなあ、と思った。
春になって俺の隣に用意された机はずっと空席だった。
うちのクラスにも転校生?が来るって話はいつの間にかみんなの中でなかったことになって、俺は特に気にすることもなく、静かに眠れてラッキー、ぐらいの感覚でいた。
そんなとき。
急に現れたうちのクラスの転校生は、小さいくせに怪力で、おとなしいくせに変なところで荒っぽい子だった。おまけに机に向かって何を書いているのかと思ったら退学レポート?とか。笑える。
学校を辞めるにしては毎日通学してるし。びくびくおどおどして、正直目障りなんだけど、なぜか放っておけない。
ま〜くんの性格がうつったのかな。
今日も教室を飛び出していった彼女を、クラスメートが複雑な顔をして見送っていた。
ほんとに迷惑。静かにしててくれたら俺も快適に眠れるのにさ。
こんな昼間からあんまり動きたくないんだけど……
特に関係があるわけでもないし。
重い腰を上げる。
どこにいったのかな。
静かにしてるって約束ぐらい、守ってよ。
『こんなところにいた』
←