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- ナノ -

教室がザワザワし始めたからそろそろお昼かな。俺は相変わらず半分眠りの世界にいるんだけど。
隣の席の名前は鞄から小さなお弁当箱を取り出して小さく手を合わせてる。

いただきます。
卵焼きをもぐもぐ。
プチトマトをもぐもぐ。

よしよし、今日もちゃんと食べてるねぇ。なんか保護者になった気分。
お昼の時間も好きなんだ〜。寝てるフリして名前を観察するの。ハムスターみたいで可愛いでしょ。隣の席の俺だけの特権♪


「……凛月」


ぱっと名前と目が合う。
まさか呼ばれると思ってなかったし、こっちを見るとも思ってなかった。目が合ったときにはもう誤魔化すことのできない状況。

「ん……なに……?」

いま目が覚めたフリをする。名前は俺の目をじっと見て言った。

「見られると食べにくい」

あ、バレてた?
ちょっと怒ってる名前も可愛いよねぇ。


*


授業が終わって、これからKnightsのレッスン。
ずっとここで寝てたい気分なんだけど、このまま寝てる間に教室に閉じ込められても困るし。移動しよう。

名前は鞄に荷物を詰めて周りをキョロキョロしてる。人が多いからまだ移動するつもりはないみたい。だいたい名前の考えそうなことは読めるようになってきた。

このあとは名前もレッスンに来るはずだけど。
セッちゃんが「毎日顔を出すように」ってうるさいから、さすがの名前も逃げられないはず。
どうせ同じ場所に行くんだし、一緒に連れて行ってあげてもいいんだけどね〜?

「…………」

まだ誘ったことがない。俺から声をかけるの、躊躇うんだよね。でも俺が声をかけなかったら、名前から声をかけてくれることって滅多にないし。
こいつ、俺の気持ちにまったく気づいてないでしょ。

「ねぇ、名前」
「……!」

そんなに飛びあがらなくても。
天敵に見つかった小動物 みたいで可愛いけど。

「レッスン行くんでしょ〜?……ついでに俺も連れてってよ」

俺が連れてってあげるんだけどね。
しばらく無言で悩んだ名前は、急に深刻な顔をして口を開いた。


「わたし、おんぶできない」


いや、そこまで求めてないから。
手を引いてくれるだけでいいよ。