「起きたか?」
目を開けたら、レオくんと目が合った。
どれくらい寝ていたんだろう。記憶が途中で抜けている。確か二人がご飯を作るとかいって走っていって。覚えているのはそこまでだ。ちゃんと夕飯食べられたのかな。
「リオは?」
「あっちでお絵描きしてるよ。一人でも大丈夫だって」
レオくんの手が伸びてきて、わたしの額に当たった。
冷たい。もしかして、わたしが熱いのか。
「やっぱり体調悪かったんだな。おかしいな、とは思ったけど」
「リオが楽しそうだったから、言えなくて」
レオくんとリオが二人で並んで歩いてると、親子って感じがしてかわいいんだ。実際に親子なんだけど。
わたしはそれを近くで見守りたい。壊したくないの。二人がそっくりなの、実は嬉しかったりする。
「気持ちはわかるけどさ、せめておれには頼れよ」
鋭い瞳に見つめられて、呼吸を忘れた。
「ごめん……ありがとう、レオくん」
口にしたら一気に顔が熱くなった。
それはきっと、熱のせい。
「名前」
名前を呼ばれただけなのにどきっとする。
今日のレオくんは、いつもの子供っぽいレオくんじゃない。どちらかというとこっちのほうが本来の彼だったりして。
「レオ……?」
気がついたらレオくんの顔が迫ってきて、わたしはまた息を止めた。いまの状況ぐらいさすがのわたしだって理解できている。でも、体調不良と寝起きのせいで、うまく処理することができない。
そうこうしている間に、無理やり手をつながれる。
レオくん、わたしの呼吸を止めないで。
それに、こういうの久しぶりだから、心の準備が、
「ママー!」
すぱーんっと部屋のドアが開いて、リオが飛び込んできた。あまりにも突然のことに、レオくんと二人でびくっとする。
リオ、すごいタイミング……
「ママ、げんき?はやくげんきになって!これ、リオからママに!……なんで、パパしたむいてるの?あ、まって、かんがえさせて!」
「リオ、ありがとう。おかげでげんきがでたよ」
パパのことは気にしないであげて。
リオが渡してくれた紙には、今日一日の出来事がイラストでまとめてあった。ほんとだ、パンダさん完璧だね。
いつの間にか復活したレオくんは、リオを抱っこして立ち上がる。
「よし、リオ!ママがゆっくり休めるようにあっちでお絵描きするか☆」
「うん、する!パンダのうたつくれる?」
「ああ!作れる!おれは天才だからな☆」
「じゃあ、リオもてんさいだ☆」
ほんとに飽きないな、この二人は。
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