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- ナノ -

「なに作るの?」
「オムライス」


それ名前がすきなものだよね。
食べたかったのかな。最近作ってあげてないし。


「名前は卵割って」


俺がチキンライスを作っている間に名前にも役割を用意してあげる。
卵なら怪我をすることはないだろうし大丈夫でしょ。


「割れない」


しばらく卵とにらめっこしていた名前がぽつりと呟いた。


「割ったことないの?」
「力加減がわからない」


まさか、そんなに握力強かったの?
今までセッちゃんに合わせてゴリラって呼んできたけど、まさかそこまで腕力が強かったなんて。見た目はリスみたいなのに。


「一緒に割ろっか」


自分の作業を中断して名前のもとに移動する。


「ほら、こうやって持って」


卵を持った名前の後ろから抱きしめるようにして腕を回す。
そっと名前の手を包み込むと、名前の手が震えた。


「凛月」
「ん?」


ちょっと戸惑いがちに名前を呼ばれて首をかしげる。
やっぱり俺が手をだしたら駄目だったかな、と思ったとき。


「どきどきする」
「え」


小さな声が俺の耳に届いて、一瞬何を言われたのか理解できなかった。
どきどき?
なんでどきどきするの。


「……名前、耳が赤いよ」
「…………」


なるほど、そういうことね〜。
確かに名前の手がどきどきしてる。
名前でも照れることあるんだ。


「後ろから抱きしめられるのに弱いんだね」
「弱くない」


強がる名前が可愛いから、仕方ないので今日はそういうことにしておいてあげる。






無事完成したオムライスを前に、二人で手を合わせる。いただきます。


「凛月、おいしい?」
「おいしいよ〜」


味付けはほとんど俺がしたんだけど。


「お誕生日おめでとう」
「ありがとう〜……♪」


来年も名前とこうやって誕生日を迎えられたらいいな。