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ばかだ。
居場所を作る前に自分から逃げだした。

こわくなったの。
こんな場所でわたしみたいな人間が生きていけるわけない。
周りは知らない人ばかりで、わたしは人見知りの世間知らずで、おまけに悲観的で、人とうまく付き合うことができない。

転校先の学校は夢ノ咲学院とかいうアイドル養成学校。
友達ができなくて転校してきたのに、これじゃあ余計に状況が悪化している。
元の学校のほうがまだマシだ。

友達どころか、クラスメイトとだって顔を合わせられない。だってみんな男の子だから。


転校初日に先生の話を聞いただけでわたしは息ができなくなった。
教室まで足を運ぶことすらできず、結局途中で立ち止まってしまった。

廊下に立っていると女子は目立つのか、周りの生徒がわたしのことを珍しそうに見てくる。もちろんみんな男の子。その視線だけでわたしの足は進むべき方向とは逆の方向に向いていた。


――そうだ、家に帰ろう。


いるべき場所じゃないなら帰るべき場所に帰ればいいんだ。なんだ、そんな簡単なこと、なんですぐ思いつかなかったんだろう。

アイドルなんて……そんな浮ついたものはわたしの世界には存在しない。
似合わないことに首をつっこむべきじゃなかったんだ。

わたしはこうして一日も学校に通うことなく不登校になった。