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我が家に扇風機がやってきた。


「われわれは宇宙人だ〜」
「われわれは、うっちゅ〜だ〜」
「宇宙人な」


リオとレオくんは扇風機がきてからずっとその前から動こうとしない。おまけに変な遊びまで教えてるし。レオくん、リオが真似するからやめてっていつも言ってるでしょ。


「わはは!おもしろい!たのしい〜!」


案の定、リオはすぐに宇宙人ごっこにはまってしまって、レオくんと二人で扇風機遊びに夢中だ。楽しいのはわかるよ。子供はそういうの好きだもんね。


「楽しいな〜!他にいってみたいことないか?」
「ん〜……あ!そうだ!」


わたしは二人のやりとりに黙って見守りながら、離れたところで食器を洗っていた。
宇宙人ごっこの次はなにが始まるんだ、と思っていると。


「ママだいすき〜」
「それいいな!おれも!……名前だいすきだ〜!」
「リオはもっとすき〜!」
「おれももっともっとだいすきだぞ〜!」


大きな声でそんなことをいいだす。
本人がここにいるんですけど!?


「ちょっと、恥ずかしいからやめて」


食器洗いの手を止めて二人のところに行くと、レオくんが嬉しそうに振り返る。なにその笑顔。こっちは怒ってるんだけど?


「お!名前もしたいのか!?いいよ!レオくん好き!っていって!」
「いうわけないでしょバカ!」


まったく呑気すぎる。リオが「リオもすきっていって〜!」と二人して同じ顔をしながらせがんできたからちょっと心が揺れる。


「それにしても涼しいな〜!霊感が湧いてきそうだ!」
「うん!……あ!パパがあつくてしんじゃったらだめだから、これおへやにもっていっていいよ!」


リオはきっとレオくんが仕事に夢中になって熱中症になったら大変だ、と思ったんだろう。確かに我が家で一番暑さで倒れそうなのレオくんだよね。暑いということすら忘れて作曲しそうだし。


「リオ、気に入ったんだろ?だったらここに置いとくよ。パパの部屋にも涼しいやつあるから大丈夫だぞ〜」


レオくんの部屋にもちゃんとエアコンがあるから心配ないんだけど。
リオは安心したのかまた扇風機の風に吹かれて遊んでいる。二人揃って風を受けている姿は、まるでライオンの親子みたい。ちょっとかわいい。


「ママもここにきて〜」
「名前!」


ぼーっと二人を見ていると、急にリオとレオくんに呼ばれた。見ると、二人の間に一人分のスペースができている。


「三人でくっついたら暑いでしょ」
「あつくないもん〜!」
「三人一緒がいいもんな〜!」


なんだかんだ文句を言いながら、二人の間に座っちゃうあたり、わたしはやっぱり二人のことが大好きなんだ。