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ボクがどんな罪を犯したといんだろう。


キミは最高のアイドルだ!
さすがだね!キミならできると思ってたよ!
キミ以上にキラキラしたアイドルはいない!
もっとできるよ!だってキミは神に選ばれたんだ!
すごいね!次もきっとうまくいくよ!
キミはボクの憧れなんだ!


ボクが口にした言葉はどれもキミたちを賞賛するものだった。だから感謝されることはあっても、恨まれるような覚えはない。キミたちが勝手に自分を追い詰めただけだ。

どうしてあのときボクの名前を挙げたりしたの?キミたちがなにもしなければ、教師はボクのことを疑ったりしない。だってボクは優しい心の持ち主だから。キミたちが弱かっただけ。キミたちが。
学校を辞めるならどうぞ。キミは所詮その程度のアイドルだったんだね。期待していたのに、がっかりした。




職員室から出た途端、耐えきれない笑いがこみ上げてくる。ふふ、こうやってみんな消えちゃえばいい。楽しいな。いいことをしているのに、人が消えていくなんて。こんなにおかしなことはない。ボクの言葉には力がある。


「こんにちは」


声をかけられてハッとする。振り返ると、よく見た顔がそこにあった。話をしたことなんてない。彼はボクとは違う世界の人間だ。


「キミはだれ?」


純粋無垢な瞳で彼を見つめてやる。同学年だ。嘘みたいに整った綺麗な顔に、思わず出そうになったため息を飲み込む。


「名字聖夜だよ。隣のクラスなんだ。君のことをたまに見かけて、ずっと気になっていた」
「え〜!ボクみたいな未熟者に何の用?」


いつだって、相手より下にいれば悪く思われることはない。だれかの上に立つことは、裏切られる道への第一歩。


「真昼くんは、職員室に何か用があったの?」
「なにも!今度クラスメイトが学校を辞めるみたいで、ちょっと話を聞いていただけだよ」


他人事みたいでしょ。だって他人事だ。ボクにとってはすべてがどうでもいい。友達とか仲間とか絆とか愛とか、そういう鬱陶しいのは必要ない。


「そう。ならよかった。真昼くんにお願いがあったんだ。僕とユニットを組んで欲しい」


彼にそう言われたとき、正直なところ断ることしか考えていなかった。だって、こんな学院の人気者と知り合いになったら、今までのように自由に立ち回ることができなくなる。
でも。


「へ〜、面白そう!少しだけ考えさせてよ。しばらく聖夜くんと一緒に行動したいな」


ボクは、次のターゲットを彼に決めた。この言葉に力があると信じて。