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※退学レポートのヒロイン設定です。





「もうお弁当いらない」


帰宅した名前が俺の前にやってきて深刻な顔でそんなことをいう。直球すぎて一瞬何をいわれたのか理解できなかった。
え……?なんて?お弁当いらない?


「なんで」


できる限り平静を装って聞いてみたけど、本当はすごくどきどきしていた。名前に嫌われるようなことはしてないはずだけど。どうしよう。もう別れようとかいわれたら。


「凛月が作ってるっていったら『彼氏さんがかわいそう」って」


名前が俯いて小さな声で教えてくれる。

は?そんなのこっちの問題なんだから部外者が勝手に判断しないでほしい。少なくとも俺は可哀想なんかじゃないし。夜の間に下準備をして、名前が起きる前にお弁当を詰めて。これが毎日の日課だし、長い夜も楽しく過ごせるようになった。


「俺は好きで作ってるんだし、べつにいいよ。名前はもう俺のお弁当食べたくないの?」


「食べたくない」といわれたらどうしようか内心焦りながらも聞くと、名前は小刻みに首を横に振った。


「食べたい。お昼の時間だけ、凛月がそばにいるような気がして安心するから」


泣きそうになってる名前を見て、俺の方が泣くかと思った。こんな嬉しいこと、世のお母さんたちだってなかなかいわれないでしょ。俺はいつも名前のそばにいるつもりだけど、名前も俺がそばにいることを望んでいるなら、素直に嬉しい。


「そんな嬉しいこといわれたら嫌っていわれても作り続けるんだけど。いい?」


名前がこくんと頷く。誰が作ろうと俺たちが幸せならそれでいいの。世の中の常識みたいなやつに流されなくても。


「タコさんが好き」
「名前はこどもっぽいものが好きだねぇ」


明日はたくさんタコさんウィンナーを入れてあげよ〜っと♪






翌日


「こんなにタコさんいらない」


帰宅するなり空のお弁当箱を持って来て訴えてくる。


「え〜?タコさん好きっていったじゃん」
「一個だからおいしいの」


珍しくちょっと怒っている名前を見て余計に困る。女の子って難しいねぇ。