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※退学レポートのヒロイン設定です。







「ただいま〜」


玄関の扉を開くと、勢いよく飛び込んできた何かに抱きつかれる。


「わっ……なにどうしたの」


落ち着いてよく見ると名前だった。ぎゅっと俺の腰に抱きついてるせいで顔は見えないけど。出迎えてくれたにしては、様子がおかしい。震えてるし。


「名前?」


一旦引き剥がそうと名前の肩を押してみてもびくともしない。ぐすっと、鼻をすする音がして、名前が泣いていることに気づいた。


「なにかあったの?どこか痛い?……ちょっと、顔見せて」


俺がいないうちに何があったの?
まさか泥棒が入ったとか?
何かされたりしてないよね。

あれこれ良くないことばかりが浮かんできて不安になっていると、名前が抱きついたまま呟いた。


「帰りが、遅かったから」


あー……そういえば連絡してない。
今日は予定の時間に仕事が終わらなくて、早く家に帰ろうと思ってまっすぐ帰ってきたんだけど、名前には一度も連絡を入れてなかった。


「ごめん、連絡するの忘れてた」


謝ると、腕の力が少しだけ緩む。その隙にしゃがみ込んで、名前の顔が見える位置に体勢を変えた。ほら、やっぱり泣いてる。


「救急車の音、がして……凛月だったらどうしようって」


こんな日に限っていろいろと不安になることばかりが重なったみたい。


「そっか。怖い思いさせてごめんね」


今度は俺がぎゅっと抱きしめてあげる。一人で待っている名前を想像したら、急に罪悪感が湧いてきて、抱きしめる腕に力を入れた。

俺も名前も、お互いのことが大切なの。消えてしまったら生きていけない。


「夕飯もう食べた?」


耳元で囁くと、名前は無言で首を横に振る。小さい子供みたいでかわいい。


「じゃあ一緒に食べよ〜。炒飯作ってあげる」


俺の言葉に、名前は泣きながら小さく頷いた。もう、これだから放って置けない。


「泣かないの〜。名前は泣き虫さんだねぇ」


名前のほっぺを両手で挟んで見つめ合う。

俺は無事だよ。だから安心して。俺は名前の泣き顔も好きだけど、楽しそうにしてる顔が一番好きなんだよ。だから早く笑ってね。