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(その101の前。お母さんとの秘密の会話です)


退院した翌日は、久しぶりに家でゆっくり過ごした。お父さんとお兄ちゃんは仕事で家にいなくて、今日はお母さんと二人きり。


「凛月くんっていうんでしょ?」


あまりにも突然の問いかけに、わたしの頭はついていけなかった。なぜお母さんが凛月の名前を知っているんだろう。そもそもどういう展開で凛月がでてきたのか状況が読めない。


「名前が入院してる間にうちに男の子が来てね。ドアを開けるなり『すみませんでした』って謝られたから、ママびっくりしちゃって思わずお茶に誘ったの」


え?


「パパや聖夜くんとは違ったタイプの子だからドキドキして、このまま帰すわけには行かないわ!と思って家に上げたのよ。病院でも会ったんだけど名前を聞いてもなかなか教えてくれなくて」


困った、というように頬に手を当てるお母さん。
そんなことがあったなんて初めて知った。


「『名前が最近楽しそうなのはあなたのおかげね』って言ったら、照れながら名前を教えてくれたの。ほんとに可愛くてそのままうちの子にしちゃおうかと思ったのに、名前を聞いたところでちょうど聖夜くんが帰宅したじゃない?もうそのあとのことはだいたい想像できると思うけど」


最近お兄ちゃんの機嫌が悪いのはそのせいだ。凛月がお見舞いに来るだけでもあれだけ喚いていたのに、家に来たら想像しなくてもどうなるかわかる。お母さんもお母さんだけど。


「名前が病院に運ばれた時もびっくりしたのよ。病院に駆けつけたらかっこいい男の子が五人もいるんだもの。さすが夢ノ咲ね。パパや聖夜くんはもう見飽きちゃったから新鮮だったな〜♪」


お母さんはいつも楽しそうだけど、今日は特別気分がいいようだった。お兄ちゃんの暴走癖も問題だけど、お母さんのこういうところも同レベルの問題だと思う。この人の娘なのにわたしはどうしてこんなに悲観的な性格になったのだろうか。


「聖夜くんのことはママに任せて!名前は安心して学校に行ってきてね。ママは名前の味方だから!」


言葉とともにウィンクが飛んでくる。
お兄ちゃんはお母さんの言うことならなんでも聞くから、きっと大丈夫だよね。