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- ナノ -

名前は僕の大切な妹。
小さいころはよく一緒に踊ってくれた。僕の言うことをちゃんと聞いてくれたし、笑うとすごくかわいいんだよ。
その笑顔を奪ったやつらのことを僕は一生許さないけどね。

まあ、いまはそんなことより重大な問題が発生したんだ。
聞いてくれるよね、アサキ?


「名前が門限を破って男と帰ってきた」
「は?」


僕の言葉に、衣装の調整をしていたアサキがきょとんとした顔で振り返った。
女好き、チャラ男、なんて単語で世間をにぎわせている男とは思えない顔だ。


「妹ちゃんが?なに?男?え、おめでとう?祝っとく?」
「絞め殺されたいの?」


アサキを信じた僕が悪かった。
名前のことは君だってよく知ってるでしょう。それなのに、よくそんな風に茶化せるものだ。


「それにしてもあの妹ちゃんがねぇ。地味な子だと思ってたのに意外とよくやるな」
「清楚って言ってくれる?あと名前はなにもしてないから。勝手に決めつけないで」


うちの子に限って絶対にありえない。
だいたいなんで男と。
夢ノ咲に通わせるって言いだした父さんの話をちゃんと反対しておけばよかった。

あそこにはろくなやつがいない。僕の目の前にいるアサキだってあそこの卒業生なんだから。


「でも男と帰ってきたんだろ?そんな夜中に?なにがあったか聞かなかったの?」
「聞いたよ。でも名前は詳しいことなんて教えてくれなかった。こんなことなら盗聴器ぐらいしのばせておけばよかったよ」
「やめなよ、おまえトップアイドルだぞ、一応」


その言葉、そっくりそのまま返すよ、アサキ。君が真面目に仕事をしないから、ファンから浮ついた男だと思われるんだ。


「そういえば今度夢ノ咲に行くんだろ?ちょうどいいじゃん。偵察してきなよ。ここで俺と話しててもおまえの望む答えはでてこないだろうし?悪い虫は早いうちに駆除しておいたほうがいいよ。取り返しがつかなくなる前にさ」


今日の収録の台本に目を移したアサキは、片手で銃を作って撃つ真似をした。
ばーん。
ってね。僕だって撃ってやろうかと思ったよ、あの夜に。

少し前まで絶対に家から出ようとしなかったのに、短期間の間に何があったんだ。名前の興味を引くようなものが夢ノ咲にあるとは思えない。あの子のアイドルは僕だけなのに。なんのためにアイドルになったと思ってるの。

あの日から変わらない。君の笑顔を取り戻すために僕は今日も舞台に立つんだ。