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レオくんが帰宅したところを、さっそく捕まえる。


「レオくん、ちょっと」
「なんだ!?あ!待って!言わないで!妄想させて!」
「だれが待つか!」


いつもの手は通用しないからな!


「どうした、おまえこわいぞ……」


わたしの鬼気迫った声に、レオくんがびくっとする。
こわいってもんじゃないよ。まったく。


「うちには何人子供がいるんですか?レオくんの面倒まで見てたらわたしが死にます」
「それは困る!」


そうでしょう、困るでしょう。
だったら、ちゃんとリオの見本になって!
パパなんだから!


「これを見てください」


とりあえず現場を見てもらったほうが速いと思って、リビングの壁を見せる。
すると、レオくんは「おお!」と飛び上がった。


「すごいな!リオはやっぱり絵の才能があるんじゃないか!?おれの娘だもんな!やっぱりおれは天才だ☆そんでもってリオも天才!なんかいい曲が作れそう☆」


わかってはいたけど、この天才とは会話ができそうにない。


「そうなの。リオもレオくんに似て芸術的才能があるみたいなの。それは嬉しいんだよ。得意なことがあるのはいいことだし、幼稚園の先生にも褒めてもらったし」

「そうか!すごいなー、リオは☆」


呑気にもほどがある。

レオくんは今までそれでやってきたわけだし?いいかもしれないけど、リオはこれからなんだよ?


「でも壁に書くのはどうなの?そりゃあ子供はね、壁に落書きしたくなる年頃もあるだろうけど、これが初めてじゃないんだよ?この前は床だった。その前は机。その前は、レオくんのジャケットに」

「あれはかわいかった!」


おい、喜ぶな。