藍は若干後悔していた。


「だーかーらー!分かってよシャイニー!このラボの博士が作ってくれた装置を使えば、全てのダーカーは私のしもべになるの!」

「ふーむ…確かに面白そうですネー…」

「でっしょー!?ってことでお願いシャイニー!やらせて下さい!!」


いつものネイバークォーツに身を包んだ早苗は、アークスの最高評議会議室、つまりはシャイニング早乙女の執務室にて地団駄をふんで大声でお願いしながら頭をさげていた。

その頭の上で合わさった彼女の手に光る指輪を見て、まぁ彼女幸せならいいかななんて、思ってしまうあたり自分は末期なんだろうなと思う。


「仕方ないデスねぇ、美風さんも着いてますし…早苗さんのお願いなので、特別にアークスシップの文化会館を再来週の土曜日に貸しきっちゃいまショウ!」

「やったー!ありがとシャイニー!」


曲の準備と装置の手配を進めて下さーいと言われて出ていった早苗を見送ると、オチャラケた雰囲気の早乙女は消え、一気に真面目な顔に戻っていた。サングラスの向こうで、すっと目が細まったのが分かる。


「それで美風、本当にやるのか」

「もちろん、当たり前でしょ。あの子のお願いを叶えるのがボクの役目。」

「ダーカーを支配下に置くということは、自分もダーカーに近い存在になるということだ。……白崎は、死ねなくなるぞ」

「わかってるよ。だから、その咎もボクは半分背負う」


早乙女がふっと笑うと、こちらに何かを投げてよこした。顔の横で軽い音をたてて受け取る。何かと思い見てみれば、小さな水晶がはまった一対のイヤリングだった。


「フォトンクリスタルだ。彼女のプランでは魔法を使って歌い、新人アイドルとして蘭丸のツアーに同行することだったな。それを使えば、少しは楽になるだろう」

「早乙女…ありがとうございます。」

「行ってやれ、愛しいと思うのなら、全力を掛けて守りぬけ。幸せにしろ。それが、男というものだろう。」


藍は早乙女に大きく頷いてみせると、イヤリングの片方を自分につけて、残りの1つは大切に握りしめて執務室を飛び出した。指輪だけじゃものたりない。もっともっと、同じものを身に着けて、同じ景色を見て、それでも違う意見や感情を共有して、同じ時間を過ごしたい。
だから、早くこれを渡さなくては。





藍の出ていった執務室で、早乙女は深く椅子に腰掛けると、机の上に飾られた写真立てを手にとった。そこに映るのは遺跡にあった壁画で、大柄なローブ姿の男性と両側に補佐の男性が一人ずつ、その前列に女王と巫女、そしてその回りには彼女らの近衛と補佐官たち。


「ついに…我が子らの決意を見守る時がきたようだ…」

「もぅ、盗み聞きさせるなんて、シャイニー趣味が悪いわよ」

「諦めろ林檎、それでもお前だって嬉しいんだろ?」


ナースドレスの林檎とスーツ姿の龍也が豪奢な紅色のカーテンから出て来て、早乙女の写真を覗き見る。


「美風も、今度は普通に生きていけると思っていたが、いつも選ぶ道は辛そうだな」

「そうね。自分の体を機械にしてみたり、今度はダーカーでしょう?心配になっちゃう」

「…それでも、私の息子たちとその巫女、そしてわが子同然の女王たちの決意だ。見守ってやるのが、私達の役目だろう」






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